アニメ「キャロル&チューズデイ」を見終えた。

2クールで全24話だったが、これは1クール13話まで

刈り込んだら傑作になったのではなかろうか。

 

いろんなエピソードを盛り込んで見ごたえはあったのだが、

オーディション番組のあたりで脱落した人も多かったと思う。

(版権の関係でたくさんの歌手を出さなければならなかった

という事情はあると思うが)

 

AパートとBパートの間には必ずシングルレコードのレーベルを

アップにしてレイアウトしていることからも分かるように、

この作品はオールディーズが好きな人のための音楽アニメだ。

とはいえアニメの中で演奏された楽曲は2010年代の音になって

いて、いまの若者への目配りもある。

と同時に全曲英語で唄っているので、海外への販売がメインなの

かもしれない。

 

話の最後は、ほとんど“We are the world”である。

しかもシンガーはほとんどが女性だった。時代を表しているのか。

 

 

物語のテーマは、現代の米国が向き合う社会問題とシンクロして

いる。移民や貧富の格差、有色人種の差別などである。

敢えてテラフォーミングされた火星を舞台にしたのは、米国だと

名指しを避けるためだったのかもしれない。

 

もうひとつは、AIがつくる音楽と人間がつくる音楽の対決だった

はずだが、いつの間にかうやむやになっていた。

 

AIの歌姫になるはずだったアンジェラを演じた上坂すみれ

好演していた。「荒ぶる季節の乙女どもよ」の曽根崎部長とともに、

夏アニメでの活躍が目立ったと思う。

 

 

そういえば、主人公の二人は一度も喧嘩しなかったな。

昔のアニメだったら絶対に対立してからより仲良くなっていたはず

だが、最近はそういうのは流行らないのだろう。

 

70年代から80年代の米国のポピュラー音楽が好きな人であれば

楽しめる作品である。