- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/06/22
- メディア: 文庫
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枯れ専BL小説である。たぶん。
普通に年寄りの日常のあれこれが書かれた話に読めるんだけど、
BL好きが読んだら分かる何かがあると思う。よく知らんけど。
舞台の町には江戸時代から残っている水路があって、主人公たちは
当たり前のようにボートに乗って移動している。
こんな町がまだあったのか、と驚いた。
よく読むと、政こと有田国政の内面は書いてあるが、源こと堀源二郎の
心理は書かれていない。あくまでも政から見た源の描写だけである。
なぜそうしているのか。政にとって源がヒーローだからだろう。
元銀行員が簪職人の生き方にあこがれているのである。
職人をリスペクトする三浦しをんらしい佳作だった。
↓
ところで、本作は集英社オレンジ文庫から出ている。
同様なものに新潮社nexというのがあり、ともにライト文芸という
くくりの小説を出版しているらしい。
ライトノベルやマンガと一般的な文学小説の中間のレーベルだと
思うが、読者はどのくらいの年齢層なのだろうか?
出版社は20代を想定しているはずだ。
その20代の読者向けの小説で、74歳のおじいさん二人を主人公に
するというのは、かなり冒険なのではあるまいか。
編集者とどういうやりとりがあったのか気になる。
有川浩の「三匹のおっさん」が当たったので、そういうものを、
というオファーだったのだろうか。
いや、やはり三浦しをんなので、枯れ専BLを一発かましてやろう、と
意気込んだに違いない。
マンガにするなら「昭和元禄落語心中」の雲田はるこでしょうな。