食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ (中公新書)
- 作者: 鈴木透
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2019/04/19
- メディア: 新書
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最初は原住民や黒人奴隷などの食文化を採り入れた多様性があったが、
産業が進むにつれファストフードが隆盛し、格差が広がるとファスト
フードしか食べられない貧困層の健康が問題になってきた、という
流れだ。
音楽も同様の歴史があると思うが、いまの米国の音楽はどうなの
だろう? マイケル・ジャクソンのような世界中の誰もが知っている
大スターが出てこなくなっているような気がする。
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私が気になっていたTVディナーについても解説があったのが
ありがたかった。
初めて知ったのはジム・ジャームッシュの映画を見たときだったが、
あれは電子レンジとともに普及した食品だそうだ。
しかし、なぜか日本には入ってきていない気がする。
むしろ冷凍スパゲッティとかチャーハンのシェアが高い。
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中盤には食のクレオール化としてカリフォルニア・ロールなどが
紹介されていた。
それなら日本の洋食やラーメン、カレーなどは何と言えばいいの
だろうか。
米国の食文化史なので、そのあたりの言及はなかったのだが、
ちょっと気になる。
また、よく映画で見る米国人が食べる中華料理も触れられて
いなかった。紙製の箱に入っている焼きそばとかは、昔から
定着している食べ物だと思うのだが。
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そもそも、米国の貧困層は自炊する習慣はあるのだろうか。
自炊する道具やキッチンすらないのでファストフードばかり
食べているのかもしれないし、生鮮食料品など高くて買えない
という理由かもしれない。
そして、日本も格差社会になってきつつあるが、まだ米国の
ような状況は顕在化していないように見える。
牛丼などの別種のファストフードのシェアが高いからなのかも
しれないし、そもそも米国のような量を提供していないから
かもしれない。
が、おそらく三食カップ麺のような貧困層は多いだろうし、
健康への影響はこれから出てくるのだろう。
それでもまだ、もやしとか豆腐とか、安くて栄養もある
食材が普通に手に入るので、日本はまともなのだと思う。
米国は食の極左のようなビーガンが生まれたり、どうも
普通ではない。
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個人的には、もう何年もハンバーガーは食べていない。
コスパが悪いからだ。
だが100円で販売していたときはよく食べた。
それでも、うどんや牛丼の方に惹かれてしまうのは
味覚が日本人だからだろうか。
中国は米国に対抗する勢力になりつつあるが、そういえば
中華料理というのはすでに世界中にあるのでマクドナルド
どころではないのかもしれない。
その中国人の食文化は改革開放以降どのように変化したか、
というのも読んでみたいので、中公新書の人は専門家を
探して執筆依頼してほしい。