*[本]パスタぎらい

パスタぎらい (新潮新書)

パスタぎらい (新潮新書)

ヤマザキマリの食に関するエッセイ集。
初版のカバーの女性は誰なんだろう? 


ヤマザキマリはイタリアに住んでいながらイタリア料理が好きでは
ないという。貧乏な時代に安いパスタを食べ過ぎたので、もはや
パスタが好きではないらしい。
が、日本のナポリタンは食べたいという。


本書のテーマは、食の保守性と冒険、というところだろうか。
日本人は和洋中華エスニックと様々な料理を楽しむが、そういう
民族は少数派であり、多くは外国の食べ物をあまり受け付けない。


イタリアがまさにそうであり、日本人である著者とイタリア人との
味覚の違いが何度も描写されている。


そして、本書は食の冒険記でもある。
現地で出されたものをおいしそうに食べることが人間の基本的な
コミュニケーションツールだと信じる著者は、食べては倒れている。
そこまでしなくても、とも思うが、好奇心ゆえの行動だろう。



酸っぱい果物やコーヒーが苦手、という意外な好き嫌いが明らかに
なっていて、私もコーヒーが苦手なので親近感を持った。


章ごとにイラストがあるが、できればパネットーネとかモロトフ
ような読者が見たことがなさそうなものも絵にしてほしかった。


いろいろと比べられるであろう、米原万里の「旅行者の朝食」と
読み比べるのも面白いかもしれないですね。

旅行者の朝食 (文春文庫)

旅行者の朝食 (文春文庫)