- 作者: 岩田健太郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: 新書
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ところが厚生労働省は、どういうわけかレバ刺を禁止した。なんで?
という話をとっかかりに、我々はリスクをどの程度まで受け入れるべきか、
どのように合意を形成できるかを述べた本である。
どんなことでも、犠牲者はゼロを目指すべきだが、それは理想論で、現実は
被害者が出る。あまりヒステリックになるのは困りものだ。
世の中、往々にして声の大きい人の意見が注目されるけれど、それが現実的
ではない場合がある。
本書の24ページでは
今回の件ではまったく被害(=病人)を出していない生レバーの規制が
議論されるようになりました。阿南久委員(全国消費者団体連絡会)は
6月28日の厚労省の会議で、牛レバーをはっきり「禁止すべきだ」と発言
しています。「なるべく」提供しない……としていた厚労省の方針を一歩
進め、完全なる禁止をもたらしたのは阿南委員の発言がきっかけでした。
とある。
この本の主旨では、特定の誰かを名指しして責任を負わせることはして
いないので、ここだけを切り取られるのは不本意だと思われるが、私は
この阿南久という人が後に消費者庁長官になったのを知って、暗澹たる
気分になった。
国家予算を最も多く使うのが厚生労働省である。
いわば利権の伏魔殿で、魑魅魍魎が蠢いているに違いない。