*[本]小暮荘物語

木暮荘物語 (祥伝社文庫)

木暮荘物語 (祥伝社文庫)

編集者に「三浦さん、芥川賞ねらってみませんか?」と言われて
書いたのではないかと邪推したくなる、純文学寄りの短編小説集
だった。


私は天井の節穴から階下の女子大生を覗き見する男の話と、その
女子大生が友人が産んだ赤ん坊を一週間預かる話が好きだ。


こういう安普請のアパートは、まだまだ東京にたくさんあるの
だろうか? それともレオパレス的な会社によってどんどん
建て替えられているのだろうか。



去年の年末あたりに、三浦しをんのエッセイをまとめて読んでいた。
最初期のエッセイは素人っぽかったのだが、すぐに面白くなっていき、
ぐいぐい読ませる文体は職人芸のようだった。
特に松苗あけみが表紙イラストを描いている新潮社文庫のエッセイは
おすすめである。

夢のような幸福 (新潮文庫)

夢のような幸福 (新潮文庫)

乙女なげやり (新潮文庫)

乙女なげやり (新潮文庫)

悶絶スパイラル (新潮文庫)

悶絶スパイラル (新潮文庫)


私が気になったのは「死国のYちゃん」である。
ほとんど三浦しをんBUCK-TICKのライブに行くときだけ登場する
友達で、四国の医療関係の職場で働いているらしい。


この「死国のYちゃん」の方言を読むに、どうやら愛媛県の人では
ないか、とネイティブスピーカーの私は推察した。
が、確認する術はない。


ところが「小暮荘物語」を読んでいると、フラワーショップの佐伯さん
という40代の女性が愛媛県宇和島出身と書かれている。
物語上、彼女の出身地は愛媛県でなくても全く問題がない。


なんで三浦しをんが唐突に宇和島の名前を出したのか。
私の強引な妄想で「死国のYちゃん」と結びつけたいのだが、確証が
ない。


まだエッセイをすべて読破したわけではないから、どこかにヒントが
書いてあるのかもしれない。



ちなみに私はこれらのエッセーを脳内で安藤サクラを主人公にして
読んでいた。
うまく脚色して「やっぱり猫が好き」みたいなテレビ番組にしたら
面白いのではないか。