Boaz2015-02-13

フジテレビで放送されたドラマ「黒い看護婦」を見た。
ふだんはこの枠のドラマを見ていないのだが、偶然予告編を見て、
大竹しのぶが怖い顔をしていたので興味を持ったのだ。


そして、予感は当たり、ほぼ「大竹しのぶ劇場」というドラマだった。
あんなにドス黒く狂った人を演じられるのは、彼女しかいないのかも
しれない。


その演技を受け止める寺島しのぶもよかった。
いま気づいたが、Wしのぶだったのだな。どうでもいいことだが。
木村多江は、不幸顔がちょっと裏目に出た、という感じか)
あと、松重豊の博多弁が、ネイティブスピーカーだけにものすごく
うまかった。


ただ、ドラマは裁判の公判の場面を描いて唐突に終わった感じがする。
最後に流れたアバの「ダンシングクイーン」も、狙いすぎたように
聞こえた。野島伸司のドラマじゃないんだから。


できれば、裁判でのやりとりを中心に事件を再現して、犯人の異常性を
あぶり出していく脚色が見たかったが、あくまでも原作どおりにやった
のだろう。



それにしても、なぜ彼女の嘘に多くの人が振り回されたのだろう。
ちょっと調べたら分かりそうなものだが、破綻するまで1年以上
経っている。


こういう女は何人もいるはずだが、自分の妄想を実現できたのは、
ある意味とても運が良かったのだろう。
普通はどこかの時点で挫折して、保険金殺人などはできなくなる。


地方都市の閉塞感、とかいうとありきたりだが、あまり頭の良くない
看護婦たちの犯罪は、妙にリアルだった。


桐野夏生の「OUT」みたいに、自由を求めて、という犯罪ではなく、
ひたすら大竹しのぶが演じる看護婦の欲望に収斂していくのが、
東京と福岡の違いのような気がした。


そうそう、看護師ではなく看護婦にしたのは見識だったと思う。
別に看護婦は差別用語ではないのだから、どんどん使うべきだろう。