最近の小中学生たちは、どんな本を読んでいるのか。
まるまるコピペするが、以下のとおりである。
元のサイトはここ。
朝の読書推進協議会はこのほど、現在約2万8000の小・中・高校で行われている「朝の読書」の人気本を調査し、結果を公表した。調査期間は2013年4月から14年3月。数多く読まれた本のランキングトップ10は以下の通り。
【小学校】
1位 原ゆたか『かいけつゾロリ』(ポプラ社)
2位 松谷みよ子ほか『怪談レストラン』(童心社)
3位 「学研まんが新ひみつ」シリーズ(学研教育出版)
4位 ジーン・マルゾーロ『ミッケ!』(小学館)
5位 「科学漫画サバイバル」シリーズ(朝日新聞出版)
5位 杉山亮『ミルキー杉山のあなたも名探偵』(偕成社)
7位 あんびるやすこ『ルルとララ』(岩崎書店)
8位 粟生こずえ『一期一会。』(学研教育出版)
9位 「徳間アニメ絵本」シリーズ(徳間書店)
10位 メアリー・ポープ・オズボーン『マジック・ツリーハウス』(KADOKAWA)
【中学校】
1位 有川浩「図書館戦争」シリーズ(KADOKAWA)
2位 東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』(小学館)
2位 柳田理科雄『空想科学読本』(KADOKAWA)
4位 三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』(同)
5位 宗田理「ぼくら」シリーズ(KADOKAWA、ポプラ社)
6位 東野圭吾「探偵ガリレオ」シリーズ(文藝春秋)
7位 はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ』(講談社)
8位 蛇蔵&海野凪子『日本人の知らない日本語』(KADOKAWA)
8位 時雨沢恵一『キノの旅 the Beautiful World』(同)
10位 金沢伸明『王様ゲーム』(双葉社)
【高校】
1位 西尾維新「物語」シリーズ(講談社)
2位 「探偵ガリレオ」シリーズ
3位 じん(自然の敵P)『カゲロウデイズ』(KADOKAWA)
4位 川原礫『ソードアート・オンライン』(同)
5位 『ビブリア古書堂の事件手帖』
6位 「図書館戦争」シリーズ
7位 『謎解きはディナーのあとで』
8位 百田尚樹『海賊とよばれた男』(講談社)
9位 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)
10位 三浦しをん『舟を編む』(光文社)
なお、高校の10位以下はここで見られます。
小学生は「かいけつゾロリシリーズ」が強い。「ズッコケ三人組シリーズ」は
もうあまり読まれていないのだろうか。
中学生で意外なのは、ラノベが「キノの旅」ぐらいしか入っていないことだ。
もっとも「図書館戦争」や「ビブリア古書堂の事件手帖」も、どちらかというと
ラノベに近いとは思うが、どうも不自然だ。
学校側が検閲しているのかもしれない。
その反動か、高校になるとラノベが増える。10位以下でもラノベが4タイトル入って
いた。
高校もレベルによるが、もっと背伸びをした本を読むのかと思っていたけれど、
そうでもないらしい。
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「朝の読書」は学校で強制されるもので、好きな本を読んでよろしいと言われても、
何でもいいというわけではあるまい。
読書好きな子はともかく、ほとんど本を読まない子は、誰かに面白い本はないかと
訊いて借りてくるのだろう。
それでも、まったく読まないよりはいい。
信じられないが、本はおろかマンガすら読まない子供たちが増えているらしく、
文字情報を入力する→考える・記憶する、という作業ができないのだそうだ。
文盲と言ってもいいかもしれない。
なので、最初に手にするものは、とにかく本人が読みやすいもの、興味のある
ものがいいと私は思う。そうでないと、自発的に本を選択することができなく
なるからだ。
ということは、学校側は最初から生徒の選択肢を狭めてはいけない。
本を読まない子も、さすがにテレビドラマぐらいは見るだろうから、その原作
でも十分である。アニメ好きだったらラノベを読ませたらいい。
とにかく、文字情報を処理することを覚えさせるのが最優先だ。
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もうひとつは、文学である必要はない、ということだ。
小学生だと「学研のひみつシリーズ」、中学生だと「空想科学読本」がランクに
入っている。こういう本を好むのは理系が多い。
ところが、高校になると文学以外の本はほとんど読まれていない。
東野圭吾のガリレオシリーズは、理系トリックものなのだが、そういうもの
ではなく、ノンフィクションの本がランクインしていないのが謎である。
ブルーバックスのような新書なら、理系の高校生が興味を持つと思うのだが、
どうもそういう提案がされていないようなのだ。
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私がいた高校は、入学前の春休みに夏目漱石の「坊っちゃん」を読んで感想文を
提出しなければならなかった。
なので、全校生徒がほぼ「坊っちゃん」を読んでいたはずである。
同学年で京都大学理学部に現役合格した女子がおり、彼女は「坊っちゃん」の
何が面白いのか全く理解できなかった、と言っていた。
いま読んだら面白いと感じるかもしれないが、ナチュラルボーンに理系な人は
文学が苦手なのではないかと想像する。
そういう若者に古典文学を強制しても、読書嫌いになるだけではないか。
大人になってから読んでも十分だと思う。
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本は自分が好きなものを勝手に読むべきである。
それは大原則なのだが、放っておいたら読む能力が発達しない児童には、なんとか
読書する糸口を見つけなければならない。
文学が大きな力を持っていた時代は、残念ながら終わった。
まだそういう幻想を抱いている老人たちは、古典文学を読みなさいと言うだろう。
確かにそれは正しいのだが、LINEに夢中になっている子供たちに識字能力をつけ
させるには、もっと導入を甘くしなければならないだろう。
いっそのことLINEの会社が小説やノンフィクションを配信してくれないだろうか。