
- 作者: 小谷野敦
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2017/11/08
- メディア: 新書
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なので、小説を雑に分類されていることには我慢ならないのだろう。
通読すると古今東西の文学作品が縦横無尽に出ていて、ほとんど読んで
いないので自分の無知にがっかりするのだが、第七章のマンガやラノベの
くだりだけはよく分かった。
これだけ懇切丁寧に書いてくれているのに、申し訳ない。
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私がリクエストしたいのは、様々な作品をベン図か四象限図で見やすく
分類してくれたらなぁ、ということだ。
純文学かどうか微妙な作品が、どのあたりにあるのかひと目で分かると
思う。
もうひとつは、純文学の文章というのが具体的にどのようなものか、
引用してほしかった。
あるいは、猫猫先生の小説でもいいので、純文学の文章で書くとこう、
通俗小説だと同じことでもこう書ける、という例があったら分かりやす
かったのではないかと。
(それはもう「文章読本X」で書いてある、ということでしたら、読んで
ないので、すいません)
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あと、私が予備校で現代文を教えていたとき、延々とセンター試験の
国語の過去問を解いていたことがあったのだけれど、センター試験で
出題される小説の問題は、純文学が多いのか、それとも通俗が多いのか、
というのも調べたら面白いかも、と思った。
まったく小説を読まない若者も、大学受験のときだけは問題文を真剣に
読むだろうから、もしかしたらセンター試験で出題された小説はその年に
最も読まれた文学作品かもしれない。
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これはどうでもいい余談だけれど、昔はポピュラー音楽でも、これは
ロックである、これはロックではない、という論争があったそうである。
ポピュラー音楽なので、そのうち売れるものが正しいということになって
話はうやむやになったそうだ。
おそらくクラシックから現代音楽みたいな方向に行ったのは、プログレッシブ
ロックと呼ばれるジャンルだと思うが、衰退してしまった。
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もはやポピュラー音楽でさえ、みんなが知っているあの曲というものが
なくなって、それぞれ細分化された蛸壺で聴いているのだろうな、と
紅白を見ていて思う。
小説はずっと前からそうなっていたのだろう。
「社会に役に立たないものは不要だ」という柳田國男のような奴が
のさばってくると、文化的に痩せてしまうと思うのだが、タバコを
この世からなくそうとする人がいる時代なので、もはやどうしようも
ないのかもしれない。