Boaz2013-12-30

昨日、朝日新聞で連載していた松尾スズキの小説「私はテレビに出たかった」が
終わった。
吉田戦車の挿絵のために全て切り抜いてクリップで挟んでおいたが、かなりの
厚さになった。


あまり期待せずに読んでいたのだが、普通に面白かった。
もしかしたらテレビドラマ化を目論んで書いたのかもしれない。


主人公は牛丼チェーン店の人事部に勤める中年のサラリーマンで、家庭に
テレビがない。ひょんなことから自社CMに出演する仕事が入ったのだが、
その役を上司に奪われてしまう。


その悔しさから、なんとかテレビに出演しようとエキストラを養成する
芸能事務所に入る。
芸能界の裏側を垣間見た主人公は、翻弄されながらもテレビに映ろうと
するのだが……という物語だ。


一応、中年サラリーマンが話の軸ではあるが、彼の小学生の娘が活躍する
話が私には面白かった。子役がらみの複雑な人間関係がスリリングな展開
をみせており、最後まで緊張感があった。


惜しかったのは主人公の上司が、最終的にどうなったのかが分からなかった
ことだ。主人公と一緒に芸能事務所に入ってお笑い芸人を目指す、と言って
いたのだが、どこかでフェードアウトしたようだ。


ドラマ化されたら、誰がキャスティングされるだろうか。
主人公は佐々木蔵之介かなぁ。もっと平凡そうな人がいいかもしれない。


ところで、宿というゲイの大物俳優のモデルは誰なんだろう? 
演劇関係の人なら一発で分かるように書いてあるような気がする。