Boaz2012-08-31

フィリピン沖地震のため、夜になってから津波注意報の日本地図が
テレビ画面から消えなかった。
おかげで、毎週わりと楽しみにしているBS11の「ココロコネクト」も
がっつり津波注意報が入っていた。残念。


原作のラノベを読んでおらず、アニメも8話までしか見ていないから、
的はずれな感想になるかもしれないが、気になることがある。


ココロコネクト」では、文化研究部にいる高校1年生の男子2人、女子
3人の人格が、何の前触れもなく入れ替わり、一定の時間が経つと元に
戻る、という現象が起こる。


この現象により、それぞれの人間関係があらわになり、思春期のあれ
これが描かれて、ひとまわり大きく成長する、という話だ。
よくできたジュブナイルだと思う。


ひとつ分からないのは、この謎の現象を起こした〈ふうせんかずら〉と
呼ばれる生命体との関係である。
物語では、文化研究部の顧問の先生の身体を乗っ取って主人公たちと
コミュニケーションをとる。実体はないらしい。


70年代あたりのジュブナイルなら、主人公たちは〈ふうせんかずら〉の
正体を暴いて、何とかやっつけようとしただろう。
「面白いから」という理由だけで人の心を弄ぶような奴に操られるまま
ではいられないからだ。


だが、「ココロコネクト」では、多少の抵抗を試みるものの、主人公たち
は謎の現象を受け入れて、その中でもがいている。
そういう設定なんですね、分かりました、という感じだ。


私はなにも、いまの若者たちは覇気がない、と言いたいのではない。
物語が〈ふうせんかずら〉との対決に向かわないのは、主人公たちに
謎を解く手立てがないからである。
普通の高校生なのだから当たり前だ。


状況を受け入れて、その中で最善を尽くす、というのは合理的とも
いえる。
おそらく、不況が長引いた影響が、こういうラノベにも現れたのでは
なかろうか。


みんな、〈ふうせんかずら〉の悪意に腹が立っているけれど、自分たち
の力ではどうしようもない。
世の中に対しても、そういうふうに思っているとしたら、なんだか切ない。


ひとりのオッサンとしては、なんとか〈ふうせんかずら〉に一泡吹かせて
やりたいのだが、それは今後の展開を楽しみに待つことにしよう。