*[映画]駒田蒸溜所へようこそ

サービスデーの午後7時からの回で観客は8人。

P.A.WORKS の十八番ともいえるお仕事アニメだった。
とても丁寧に作られていたしウィスキー作りの取材もきちんと
やっていたと思う。

ただ1点だけ気に入らなかったところがある。
ウェブライターの高橋というキャラクターだ。

おそらくウィスキーについてよく知らない観客を映画に
導入するために登場させたと思うが、仕事をする人間と
しては最低だ。ウェブライターはバカでもできるのか、
と誤解しそうである。

中盤に、主人公のテイスティングノートを見たことを
きっかけに、生まれ変わったように熱心に仕事に
取り組むようになるのも、彼の成長を表現するために
話を仕組んだような印象だった。
そもそも彼がなぜキレるのか、よくわからない。
自分が好きでもない仕事をしているからといって、
好きな仕事をしている人を責めるのは、言いがかり
ではないか。


このあたりは、P.A.WORKS のプロデューサーたちの
若者感が反映されているのだろうか。



これは家族の物語なのだから、もっと駒田家の人々に
焦点を絞るべきだったと思う。
その証拠に、後半になってくるとウェブライターの
存在はどんどん薄くなっていき、逆に主人公の兄が
重要な役割を担ってくる。


なのでウェブライター高橋はモブでもよかったし、
有能な女性ウェブライターにした方が物語がうまく
進んだのではなかろうか。


なぜ私がこんなに引っかかるかというと、この話に
恋愛は必要ないのに、欲張って入れたキャラクターが
ノイズを出しているように思えたからだ。


実際に映画の中で主人公とウェブライターがそういう
仲になることはなかったけれども、うっすらと恋愛を
におわせるような感じはあった。
最後の集合写真で、なぜお前も入っているのだ、と
イラッとしてしまったのだ。



決してつまらなくはないし、いい作品なのだが、
ウィスキーに例えるなら、余計な雑味が入って
いる映画だったと思う。