*[本]独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

第二次大戦については遠い昔に教科書で習ったことをほぼ忘れているぐらいの
知識しかない。


イメージ的には、米国が参戦してノルマンディー上陸作戦を敢行し、パリを
開放してドイツに迫った、というのが頭にあった。
プライベート・ライアン」などの映画によるものだと思う。


しかし、人的・物的な被害は旧ソ連の方が圧倒的に多く、おびただしい死者が
出ているのを知った。
旧ソ連大祖国戦争の映画をたくさん作ったとは思うが、日本ではなかなか
見ることはできない。


ヒトラースターリンという独裁者が行った総力戦は、これほどまでに悲惨な
ものなのか。
戦地から連れてこられて強制労働させられた人も何百万人という単位でいた
らしい。
こういう人たちは韓国のように戦後補償を求めたりはしてないのだろうか。



ところでこの本では、戦争の種類を「通常戦争」「収奪戦争」「世界観戦争
(絶滅戦争)」に分けている。
独ソ戦は独裁者によって最初から相手を皆殺しにする絶滅戦争だった、と
いう主張である。


たしかにそのとおりだと思うのだが、通常戦争というのはどこらへんが通常
なのだろうか? ちょうどボクシングのようなルールのある殴り合い、と
いうイメージなのだが、そういう戦いは特定の時代と地域でしか成り立たなかった
のではないか、と疑問に思う。


むしろ人類のほとんどの戦争は収奪戦争か絶滅戦争だったのであり、
通常戦争の方が特殊だったのではないか。
なので、通常というよりは近代合理戦争とでも名付けるべきだった
ような気がする。