蟷螂の斧

住宅街の道路の真ん中にカマキリがいた。
クルマに轢かれると可哀想なので、どこか安全なところまで持っていこうと手を出すと、
シャーッと威嚇してくる。


なるほど、これが蟷螂の斧か、と妙に感心した。
普通、生物だったら自分より強いものに攻撃される前に、危険を察知して逃げるだろう。
なのに、カマキリは敵が何であろうと、とりあえず戦おうとする。
この闘争本能は何なのか。


カマキリにとっては、自分以外の生物は敵か食べ物なのだろう。
発情期にはそれに加えて交尾相手が加わるが、メスはオスを食べてしまうのだから、基本
的には動くものは敵か食べ物として認識しているのだと思う。


不思議なのは、これほどの攻撃性がカマキリという種を絶滅させていないところだ。
だって、あらゆるものに対して攻撃していたら、命がいくつあっても足りないではないか。
弱いチンピラが誰に対してもケンカを売るようなものである。


恐らく、鳥などの天敵以外で、カマキリを捕食する生き物があまりいないのと、飛ぶこと
が苦手なので、戦うしか選択肢がないのだろう。
まあ、人間だってカマキリを探して次々に殺す人はそんなにいないし。


そういえば、人間だってカマキリのように、自分以外を敵か食べ物(というより奴隷)か、
交尾相手にしか認識できない人がいる。
独裁者になると、そういう立場に追い込まれてしまうこともあるだろう。


北朝鮮が米国を威嚇するのは、まさにカマキリ的な行動といえる。
米国が本気を出したら、あっさりひねり潰されることは分かっているが、シャーッとカマ
を振り上げるしかオプションがないのだ。


この攻撃性は、さすがに範馬刃牙がイメージトレーニングの相手に選ぶだけはある。
巨大なカマキリは確かに最強の生物かもしれない。


そういや中国拳法で蟷螂拳というのがあるが、あれは本気で戦ったら強いのだろうか? 


ちなみに、曽田正人が少年時代に、カマキリの卵から大発生した幼虫を見て、カマキリが
大嫌いになったエピソードが「シャカリキ!」の単行本のおまけページに描かれている。
(現在は公式ホームページでも読める)


本文と写真はまったく関係ありません

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