朝ドラ「おしん」の再放送を楽しみに見ている。

昔も見たはずだが、内容をすっかり忘れていた。

 

いまは関東大震災ですべてを失ったおしん夫婦が、夫の故郷の

佐賀に落ち延びて、夫の実家で暮らしているところである。

その実家で、おしんも一度は逃げ出すほどの凄まじい嫁いびりが

あり、さすが橋田壽賀子、嫁姑の諍いを描かせたら日本一である。

 

このドラマは放送当時の1983年から過去を振り返る話になっている。

乙羽信子が、裕福になった老齢のおしんを演じており、視聴者は若い

ときの苦労もやがては報われると安心できる。

 

 

どうもこの当時の橋田壽賀子は、昔の日本では、田舎の農家にはロクな

人がおらず、文化的な人間は東京に集まっている、と考えていたようだ。

おそらく彼女の経験から、そう思ったのだろう。

 

なので、山形や佐賀の農家の人が見たら不愉快な描写もあったと

思うが、あながち間違いでもなかったと思う。

 

こうした素朴な東京への憧れが、いまも続く一極集中の原動力に

なっているような気がする。

それは裏返せば、田舎の人間が昔からあまり変わっていないことの

証拠かもしれない。

 

かといって、東京に住んでいる人がみんな洗練されて文化資本

豊かに持っているわけでもない。

 

このまま格差が拡大して、東京に巨大なスラムが誕生する前に、

なんとか一極集中の歯車を逆転できないものだろうか。