昨日の「天才の思考」で、クルマの運転のエピソードがあったので紹介したい。

 僕が見る限り、宮崎駿という人は、ものを教える人間としてはあまり優秀じゃ
ないんです。たとえば、当時ジブリには録音スタジオがなかったので、外の
スタジオに行かなきゃいけなかったんですが、そのとき宮さんをクルマに乗せて
いく人は大変な目に遭っていました。どのルートを使うか、どのタイミングで
方向指示器を出し、どこでブレーキを踏むか、一挙手一投足すべてにわたって
細かく口を出すんですね。これにはたいていの人がノイローゼになっちゃう。
その結果、あるときから宮さんを乗せて運転するのは僕の担当になりました(苦笑)。
(p86-87)

魔女の宅急便」の企画段階のことなので1986年ごろのことらしい。
その当時、宮崎駿は45歳。男盛りではあるものの、もういい大人だ。
もしかしてタクシーに乗ったときも、いちいち口を出していたの
だろうか? 



聞いた話では、六代目笑福亭松鶴もクルマの運転にあれこれ口を出す
人だったそうで、弟子は事故になりそうで生きた心地がしなかった
とか。
また、横山やすしも同様に赤信号でも突っ込めと言ったとかいう
話が伝わっている。


もっとも、これらの芸人たちはノロノロ進んだり追い越されるのが
嫌いだったから、無茶な運転を要求したのだが、宮崎駿はこれとは
違い、いかにスマートに運転するかを教えていたつもりだったの
だろう。



私はたぶん運転に口出しをしたことはないと思うのだが、あれこれ
言ったかもしれない。そのときのドライバーには申し訳なく思う。


自分で運転するようになると、横からやいやい言われるのは本当に
腹が立つもので、私の母がそういう人なのだが、あまりにしつこい
ので路肩にクルマを停めて、だったら自分で運転しろと怒鳴った
ことがあった。


口出ししている本人は親切だと思っているのだからやってられない。
それ以来、よほどのことがない限り、母を乗せて運転することは
なくなった。