「日本人の神」入門 神道の歴史を読み解く (講談社現代新書)
- 作者: 島田裕巳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/05/18
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読んでみた。
一回通読しただけでは、ちょっと消化しづらいものがあったけれど、古代
から日本人がどういうものを祀ってきたか、興味深かった。
特に面白かったのは、神道が明治時代から大きく形を変えていくところだった。
江戸時代までは神仏習合で、神社とお寺は大らかに一括りにされていたのに、
明治時代から別々にされ、廃仏毀釈で仏教が迫害されていった。
これらは、つい150年前の出来事で、どうも国家主義的な考え方をする人は、
たいていのことを明治維新を基準に考えているような気がする。
それ以前の歴史については、どう考えているのか。
それから、人を神様として祀る話も面白かった。
菅原道真を北野天満宮で祀ったり、徳川家康を東照大権現として祀ったり
することはあったが、増えたのは明治時代からだった。
平安神宮や明治神宮、東郷神社や乃木神社などである。
もしかしたら神道政治連盟の野望は、安倍神社みたいなものを新しく作る
ことなのかも。
↓
日本人は自然を神様として祀る風習があって、山そのものをご神体として
拝んでいたり、巨岩に注連縄をつけたりしていた。
こういう素朴な信仰は、たぶん現代にも生きているのではないか。
オタク的に脱線すると、以前「艦これ」で軍艦を女性キャラクターで描く
のはなぜか、という話をしたことがあった。
日本的な信仰心から導くと、まず軍艦に山や川や自然現象の名前をつける
ことは、神から力を授かる、という考えをもとにしていると思われる。
軍艦は、大いなる自然の力と、それを運用する人間を媒介するものである。
それはすなわち、神と人を媒介する巫女にほかならない。
軍艦=巫女という式が成り立つならば、軍艦を女性キャラクター化することに
何の疑問もないだろう。
一方、一神教の世界では自然そのものを崇拝することはない。
近代の軍艦は人間が運用するものだから、平気で偉人や政治家の名前をつけ
られるのである。
戦争はあくまで合理的に行うもので、神頼みではない。
そういうリアリティがあるのではなかろうか。
↓
「日本人の神」入門を読むと、原武史の「知の訓練」を思い出した。
- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/07/17
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ないのだろうか。
ググると、2015年11月15日に朝日カルチャーセンター横浜教室で対談している
ようだ。
どんな内容だったのか気になる。