
- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/01/22
- メディア: 新書
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思って買っておいた。
なんというか、細かい方眼紙のマス目を一つ一つ塗りつぶして、昭和天皇が
実際に何を考えていたのか、全体像を炙り出すような名著だった。
そこには、戦中戦後に揺れ動く昭和天皇の息遣いのようなものが見られて、
非常にスリリングだった。
母親の貞明皇后のプレッシャーや、敗戦後、自分が退位すべきかどうかを
悩む姿などが浮き彫りになっており、これは現在の皇室にも同じような
ことがあるのだろうな、という予想が立つ。
明治時代に創られた伝統とはいえ、祭祀を司る人と、ヒドロ虫類や粘菌を
研究する科学者に分裂した姿も見逃せない。
近代の人なら、神頼みをして戦争に勝てるとは考えないはずだが、敗戦後も
祭祀をやめていないのが面白い。
いまの天皇も同様に魚類を研究する科学者でもあり、宮中で祭祀を行う人でも
ある。
しかも、父親がしでかした戦争の跡地へ出かけ鎮魂している。
果たしてその胸中は如何ばかりか。
↓
さらに心配なのは、皇太子と秋篠宮の関係である。
雅子妃バッシングによって、皇太子は屈折したものを抱いているに違いなく、
さらに弟の子供に男子がいるので心中穏やかではあるまい。
昭和天皇と高松宮との確執を髣髴とさせる何かが起こりそうである。
おそらく日米の高級官僚の中には天皇を利用するグループがいると思うが、
彼らは現在の天皇が亡くなるのを待って、皇太子が天皇に践祚してから
いろいろと働きかけるのではないか。
もし安倍政権で改憲がなされたなら、次の天皇の時代に戦争が始まるような
予感がある。
私の勝手な妄想にすぎないが。
もしそんな時局になったら、再び天皇の時間支配が強化されるだろう。
1937年に、全国民が午前9時に宮城に向かって拝む「国民奉祝の時間」が
設けられたそうだが、それが復活するかもしれない。
北朝鮮のことを嗤っている場合ではなさそうである。