外国語を学ぶための言語学の考え方

言語学には憧れがあるので、つい買って読んでしまう。
そして英語もおぼつかないのに、なんとなく言語の奥深さを味わったような
気分になって終わる。


黒田龍之助の本は「世界の言語入門」を読んで以来だから、ずいぶん間が
あいてしまった。
他にどんなものを書いていたのか wikipedia を見てみたら、落語家の息子
だと書いてあってびっくりした。



私が本書で面白かったのは、81ページからの協調の原則のところだった。
一般的に会話が成立するためには、暗黙の了解がある。
・関係ないことは言わない
・情報量を適切にして、大雑把すぎたり細かすぎたりしない
・嘘はつかない
・順序立てて話をして、明瞭に発音することを心がける
以上のようなことだが、これって逆に言うと漫才のメソッドでもある。


つまり、漫才のボケは、関係ないことを言ったり、大げさなことや細かすぎる
ことを言ったりして、スムーズに会話が成立しないようにする。
それをツッコミが引き戻すことで笑いが生まれるわけで、言語学と話芸は関連が
あるものだと思った。



ところで、大きなお世話だが、いまは神田外語大学の非常勤講師をされている
そうだが、何かあったのだろうか。


本書の最後に、浪漫主義言語学なるものを提唱していて、今の大学で主流らしい
科学的な言語学を批判している。


黒田龍之助のような人が居づらくなるような大学は、たぶんつまらないところ
なのだろう。そして大学はどんどんつまらなくなっていくのだと思う。