- 作者: 黒田龍之助
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/02/24
- メディア: 新書
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そして英語もおぼつかないのに、なんとなく言語の奥深さを味わったような
気分になって終わる。
黒田龍之助の本は「世界の言語入門」を読んで以来だから、ずいぶん間が
あいてしまった。
他にどんなものを書いていたのか wikipedia を見てみたら、落語家の息子
だと書いてあってびっくりした。
↓
私が本書で面白かったのは、81ページからの協調の原則のところだった。
一般的に会話が成立するためには、暗黙の了解がある。
・関係ないことは言わない
・情報量を適切にして、大雑把すぎたり細かすぎたりしない
・嘘はつかない
・順序立てて話をして、明瞭に発音することを心がける
以上のようなことだが、これって逆に言うと漫才のメソッドでもある。
つまり、漫才のボケは、関係ないことを言ったり、大げさなことや細かすぎる
ことを言ったりして、スムーズに会話が成立しないようにする。
それをツッコミが引き戻すことで笑いが生まれるわけで、言語学と話芸は関連が
あるものだと思った。
↓
ところで、大きなお世話だが、いまは神田外語大学の非常勤講師をされている
そうだが、何かあったのだろうか。
本書の最後に、浪漫主義言語学なるものを提唱していて、今の大学で主流らしい
科学的な言語学を批判している。
黒田龍之助のような人が居づらくなるような大学は、たぶんつまらないところ
なのだろう。そして大学はどんどんつまらなくなっていくのだと思う。