経済学の犯罪

この本は、新自由主義経済学がいかに間違っているかを非常に分かり
やすく説明している。
なんか世の中おかしくない? と感じている人にぜひ読んでもらいた
い。


新自由主義は、人間の欲望が無限にあると設定している。
そこで、その欲求を刺激さえすれば、経済成長はいくらでも可能だと
信じている。


が、この考え方は身体性を失っている。
ひとりの人間が食べられる量は無限ではないし、どんなに高価なもの
を食べようと、その金額には限界がある。
(一人前が一兆円の食べ物を想像できるだろうか?)


欲望が無限だとしても、それを消費する身体は無限ではない。
お金を使って何かモノを買うことは、いずれ飽和する。
そこで、お金をお金で売買するようになる。金融市場というやつだ。
これは欲望と同じだから、いくらでも掛金を釣り上げられる。


先進国の需要がある程度のところで鈍るのは、身体的に十分豊かに
なったからである。あくまでマクロ的には、だが。
有り余ったお金は金融市場になだれ込み大暴れする。それが実体経済
にショックを与える。誰得? 




私は、多くの経済学者やエコノミストたちが、根源的なことをスキップ
しているのではないかと感じていた。
あまり物事を深く考えない人が経済学を専攻するものだと思っていた。


本書では、マリノフスキーやモースに言及し、そもそも交換とは何か、
貨幣とは何か、ということを論じている。実に真っ当な姿勢だ。
その上で、今後の日本のとるべき道を指し示している。


今年、経済関係の本で一冊と言われれば、間違いなくこれだろう。
リベラル派必読である。