マンガミュージアムへ行こう

マンガミュージアムへ行こう (岩波ジュニア新書)

マンガミュージアムへ行こう (岩波ジュニア新書)

全国にある、マンガの美術館・記念館を紹介しているガイドブック的な本
かと思ったのだが、もう少し学術的なアプローチで書かれている。


教科書のような上から目線(実際に上からなのだが)の文体が気になるが、
学校の図書館に一冊あれば便利だと思う。


これまで、ハイカルチャーしか扱わなかった美術館や博物館が、サブカルチャー
であるマンガを展示するようになった理由も書いてあるので、この本を利用して、
学校図書館にマンガを置くのはけしからん! という頭の硬いオッサンを
説得してみてはいかがだろうか。



奥付の前のページに、ちょっと気になる部分があったので引用してみる。

※本書は、執筆者で構成されているマンガミュージアム研究会の成果であり、以下の
研究補助金等に支えられて、進めることができた。JSPS科研費・挑戦的萌芽研究
「博物館建築がポピュラー文化受容に果たす空間的機能の解明とその設計還元に
向けた研究」(研究課題番号:二四六五六三四三、代表:谷川竜一)、京都大学
地域研究統合情報センター共同利用・共同研究プロジェクト「建築を通したポピュラー
文化の記憶の場の構築力の解明」(代表・山中千恵)、JSPS科研費・若手研究(B)
「『記憶の場』の観光地化とポピュラー文化が生み出す歴史意識の変容に関する
実証的研究」(研究課題番号:二四七三〇四四七、代表・山中千恵)、文部科学省
私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成二二年度〜二六年度)関西大学社会的
信頼システム創生プロジェクト(研究員・村田麻里子)。これらの研究の中で得た
知見や論点などは、本書のさまざまなところに散りばめられている。

わざわざこんなことを書いているところを見ると、国からの補助金を使った
研究から派生した本には、断りを入れておかねばならないみたいだ。


そして、税金を使う研究の名目には「ポピュラー文化」は通るけれども、
「マンガ」では通らないということも分かる。
クールジャパンは何だったんだろう? 



巻末に全国のマンガ関連文化施設一覧が載っている。
これを見ると、なぜか富永一朗の記念館がたくさんある。
掲載されている67施設のうち6つがそうだ。どうなっているんだろう。


富永一朗といえば、お笑いマンガ道場の人、というイメージしかなく、
なんでこんなに記念館があるのか不思議だ。
節税対策だろうか。