Boaz2015-10-16

アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」が終わった。
私は大団円だと思って、いい作品だったという気持ちで見終えることができた
のだが、いくつか不満もあった。


ネットでは、その不満が吹き荒れていたようで、その気持も分かるのである。


ひとつは本田未央が、視聴者に共感を呼びにくいキャラクターになっていた
ということ。
もうひとつは、常務と武内Pとの対立軸が分かりづらかったことだ。



私はゲームをやっていないので、本来の本田未央がどのようなキャラクターかは
分からないのだが、おそらく、考えるよりも先に行動する元気な少女、という
タイプだったのではなかろうか。


物語を引っ張る役割としてはうってつけだとしても、どうも視聴者を置いて
突っ走ってしまった感がある。
具体的には、前半のミニライブ会場のお客が少ないとショックを受けた話と、
後半のひとりで演劇活動をすると決めた話だ。


彼女の気持ちを説明しないまま描いてしまったので、どちらのエピソードも
視聴者からは唐突に感じられたと思う。


最終話で、彼女が誰よりもニュージェネを愛していたことが分かるので、
私はこれまでの行動もチャラになったと思っているのだが、甘いだろうか。



常務が登場した後半は、シンデレラガールズたちが地下室に追いやられて
窮地に陥る。
シンデレラになぞらえたストーリーなので、それはいいのだが、なぜ彼女
たちが追いやられてしまうのか、丁寧な説明がほしかった。


というのも、もし常務がただの悪役だとしたら、彼女が手がけたプロジェクトは
失敗しなければならない。それが物語の道理というものだ。
しかし、選抜したアイドルで質の高いものを作るという方向性は、特に間違って
いないように見えたし、ストーリー上でも成功していた。


要するに、常務は346プロのブランドを守りたかったのだろう。
客席まで降りていって、はじめてお客さんの気持ちが分かったのだとしたら、
取締役として現場を知らなすぎるような気もするけれど、最終回ではどうやら
武内Pも地上に仕事部屋をもらったようだし、少しは彼の仕事も認めたようである。


結局、シンデレラに意地悪をするおばさんは、最後に心を入れ替えて良い人に
なるようなこともなかったし、悪役に徹したわけでもなかった。
そのあたりが、どうも見ていてモヤモヤしてしまったのも事実だ。



アイドルマスターシンデレラガールズ」は、自分たちの仕事とは何か、自分には
何ができるのかを見つけ出すアイドルの話だと思う。


そのアイドルたちがぶつかる壁をうまく見せていた回もあったし、そうでなかった
回もあった。
私は全体として見れば、うまく見せていた作品だと思う。


ここは、汗をかきながら歌って踊るアイドルが見られるだけで満足だ、という内なる
オッサンの声に従おう。
良い……最終回でした。