アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」が終わった。
私は大団円だと思って、いい作品だったという気持ちで見終えることができた
のだが、いくつか不満もあった。
ネットでは、その不満が吹き荒れていたようで、その気持も分かるのである。
ひとつは本田未央が、視聴者に共感を呼びにくいキャラクターになっていた
ということ。
もうひとつは、常務と武内Pとの対立軸が分かりづらかったことだ。
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私はゲームをやっていないので、本来の本田未央がどのようなキャラクターかは
分からないのだが、おそらく、考えるよりも先に行動する元気な少女、という
タイプだったのではなかろうか。
物語を引っ張る役割としてはうってつけだとしても、どうも視聴者を置いて
突っ走ってしまった感がある。
具体的には、前半のミニライブ会場のお客が少ないとショックを受けた話と、
後半のひとりで演劇活動をすると決めた話だ。
彼女の気持ちを説明しないまま描いてしまったので、どちらのエピソードも
視聴者からは唐突に感じられたと思う。
最終話で、彼女が誰よりもニュージェネを愛していたことが分かるので、
私はこれまでの行動もチャラになったと思っているのだが、甘いだろうか。
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常務が登場した後半は、シンデレラガールズたちが地下室に追いやられて
窮地に陥る。
シンデレラになぞらえたストーリーなので、それはいいのだが、なぜ彼女
たちが追いやられてしまうのか、丁寧な説明がほしかった。
というのも、もし常務がただの悪役だとしたら、彼女が手がけたプロジェクトは
失敗しなければならない。それが物語の道理というものだ。
しかし、選抜したアイドルで質の高いものを作るという方向性は、特に間違って
いないように見えたし、ストーリー上でも成功していた。
要するに、常務は346プロのブランドを守りたかったのだろう。
客席まで降りていって、はじめてお客さんの気持ちが分かったのだとしたら、
取締役として現場を知らなすぎるような気もするけれど、最終回ではどうやら
武内Pも地上に仕事部屋をもらったようだし、少しは彼の仕事も認めたようである。
結局、シンデレラに意地悪をするおばさんは、最後に心を入れ替えて良い人に
なるようなこともなかったし、悪役に徹したわけでもなかった。
そのあたりが、どうも見ていてモヤモヤしてしまったのも事実だ。
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「アイドルマスターシンデレラガールズ」は、自分たちの仕事とは何か、自分には
何ができるのかを見つけ出すアイドルの話だと思う。
そのアイドルたちがぶつかる壁をうまく見せていた回もあったし、そうでなかった
回もあった。
私は全体として見れば、うまく見せていた作品だと思う。
ここは、汗をかきながら歌って踊るアイドルが見られるだけで満足だ、という内なる
オッサンの声に従おう。
良い……最終回でした。