アニメ「響け!ユーフォニアム」を2話まで見た。
新しい顧問の先生が来て、今年の目標を生徒に自主的に決めてもらう、と
提案し、生徒たちは全国大会出場か、のんびり思い出作りかのどちらか、
多数決をとり、全国大会出場が目標になった。
そのなかで、主人公の知り合いの先輩は、のんびり派に手を挙げた。
あとで訊いてみると「アリバイ作り」と言った。
どうやら、この先輩は練習が厳しくなることを予想し、高校生活が吹奏楽
だけになるのなら部活を辞めようと思っているようだ。
私は吹奏楽部を高校2年の夏に辞めてしまったので、のんびり派の気持ちが
よく分かる。
かといって、吹奏楽コンクールを全否定するつもりもない。
あくまで生徒が本当に自分から全国を目指しているのであれば、だが。
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もし、全国の吹奏楽部の生徒たちが、心からコンクールの上位入賞を目指し、
音楽が好きであれば、高校を卒業しても何らかのかたちで吹奏楽を続ける
はずである。
実際はどうなんだろう。
高校で吹奏楽部に所属していた生徒の何割が、大学の吹奏楽部やアマチュアの
楽団で演奏して、一生の趣味にしているだろうか。
おそらく、9割ぐらいの生徒は、高校でもう十分やった、と吹奏楽から離れて
いるのではないか。
もちろん、多くの高校生は楽器を学校から貸与されて使っており、自分の楽器を
持つほどのお金もモチベーションもないだろう。
なので、自然と楽器演奏から遠ざかってしまう。
あと、練習できる場所がないという要因もあるかもしれない。
それでも、これほど高校生の演奏のレベルが上がり、演奏者の人口も多いわり
には、大人になっても音楽を楽しむ人は少ないような気がする。
高校で野球やサッカーをしていた人が、大人になって草野球や草サッカーなどを
やる割合と比べても少ないのではなかろうか。
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高校生が全国大会を目指して一心不乱になることを、甲子園的なものとしよう。
この、甲子園的なるものが、一種の燃え尽き症候群を生んでいるのではないか、
という仮説に同意してくれる人は多いと思う。
スポーツや楽器演奏を楽しむ、という目的が、競技大会で優勝することにすり替え
られているのではないか、と。
いや、みんなが全力で目標に向かって努力することの何が悪いのだ、という
反論もあるだろう。
そうすることで共有される良いこともあると私も思う。
では、どうして高校を卒業したら離脱してしまうのか。
それは、音楽を楽しめなかったからではないのか。
もし「響け!ユーフォニアム」がそういう問いを内包しているとしたら、
どんな物語になるのか楽しみだ。