Boaz2015-04-17

アニメ「響け!ユーフォニアム」を2話まで見た。
新しい顧問の先生が来て、今年の目標を生徒に自主的に決めてもらう、と
提案し、生徒たちは全国大会出場か、のんびり思い出作りかのどちらか、
多数決をとり、全国大会出場が目標になった。


そのなかで、主人公の知り合いの先輩は、のんびり派に手を挙げた。
あとで訊いてみると「アリバイ作り」と言った。
どうやら、この先輩は練習が厳しくなることを予想し、高校生活が吹奏楽
だけになるのなら部活を辞めようと思っているようだ。


私は吹奏楽部を高校2年の夏に辞めてしまったので、のんびり派の気持ちが
よく分かる。
かといって、吹奏楽コンクールを全否定するつもりもない。
あくまで生徒が本当に自分から全国を目指しているのであれば、だが。



もし、全国の吹奏楽部の生徒たちが、心からコンクールの上位入賞を目指し、
音楽が好きであれば、高校を卒業しても何らかのかたちで吹奏楽を続ける
はずである。


実際はどうなんだろう。
高校で吹奏楽部に所属していた生徒の何割が、大学の吹奏楽部やアマチュア
楽団で演奏して、一生の趣味にしているだろうか。


おそらく、9割ぐらいの生徒は、高校でもう十分やった、と吹奏楽から離れて
いるのではないか。


もちろん、多くの高校生は楽器を学校から貸与されて使っており、自分の楽器を
持つほどのお金もモチベーションもないだろう。
なので、自然と楽器演奏から遠ざかってしまう。
あと、練習できる場所がないという要因もあるかもしれない。


それでも、これほど高校生の演奏のレベルが上がり、演奏者の人口も多いわり
には、大人になっても音楽を楽しむ人は少ないような気がする。


高校で野球やサッカーをしていた人が、大人になって草野球や草サッカーなどを
やる割合と比べても少ないのではなかろうか。



高校生が全国大会を目指して一心不乱になることを、甲子園的なものとしよう。


この、甲子園的なるものが、一種の燃え尽き症候群を生んでいるのではないか、
という仮説に同意してくれる人は多いと思う。


スポーツや楽器演奏を楽しむ、という目的が、競技大会で優勝することにすり替え
られているのではないか、と。


いや、みんなが全力で目標に向かって努力することの何が悪いのだ、という
反論もあるだろう。
そうすることで共有される良いこともあると私も思う。


では、どうして高校を卒業したら離脱してしまうのか。
それは、音楽を楽しめなかったからではないのか。


もし「響け!ユーフォニアム」がそういう問いを内包しているとしたら、
どんな物語になるのか楽しみだ。