ブラック企業2

世に「ブラック企業」という言葉を定着させた前著では、若者を長期間
働かせ、残業代をほとんど払わずに使い潰す企業の代表例として、
ワタミユニクロが挙げられていた。


本書でもワタミユニクロが引き続き批判されているが、会社自体は
潰れていない。ワタミすき家が少しふらついたぐらいである。


ということは、ブラック企業はこれからも存続していくし、どんどん
生まれてもくるのだろう。
その対策として、具体的に何をすればいいのかは、本書で紹介されて
いるサイトに詳しい。(http://bktp.org



なぜブラック企業が生まれ続けているかというと、彼らに労務管理
指南する「ブラック士業」がいるからだ、と書いてある。


もうひとつ次元を繰り上げて考えてみると、従業員を奴隷化してでも
金儲けをしたい人がたくさんいるからだろう。


では、どうしてそこまで金儲けをしなければならないのか。
1.異常に欲望があるから
2.会社が潰れたら借金を抱えることになるから
3.彼らも株主や銀行の奴隷だから
ざっと思い浮かべると、こんなところだろうか。


私は、金融機関がブラック企業を生み出している元凶ではないかと
疑っている。


日銀からは尋常でない量のマネーが低金利で市場に放出されている
はずである。
そのお金はどうなっているのだろう。
少なくとも、従業員の幸せのためには使われていないのではないか。



もうひとつ、ちょっと気になったのは、奴隷を管理する奴隷のことである。


本書では厳しい研修で洗脳された若者の話が出てくる。
ほとんど寝る暇もなく叱責され、人格を否定され、会社の意のままになる
様子は、とても21世紀の企業とは思えなかった。


そういう会社では、普通の人は音を上げて辞めるか病気になって退職する。
だが、何十人かに1人生き残る人が出てくる。
研修で新人を洗脳するのは、そういう生き残りだ。
この人たちは何なんだろう、と思う。


異常に体力があるのか、ひとを虐めることが大好きなのか、とにかくブラック
企業に適応して働けるのは、どこかおかしいとしか思えない。


なぜ彼らは自分を正当化できるのか、経営側になれるのは何割くらいなのか、
そもそもどんな人たちなのか、誰か調べて欲しい。



私の根本的な疑問は、そこまで働かないと世の中は回らないのか、という
ことだ。


ワタミユニクロすき家が潰れても、特に困ることはない。
消費者がわがままにならなければいいだけの話である。


ブラック企業は、従業員のかわりはいくらでもいると思っているだろうが、
ブラック企業自身も、かわりはいくらでもいるのである。


生活のための金儲けではなく、金儲けのための金儲けをするから、死ぬほど
働かされることになるのだ。
そんなアホのために自分を犠牲にするくらいなら、働かない方がましだ。