Boaz2014-11-24

NHKで放送していた「魔法の映画はこうして生まれる」という番組を見た。
ジョン・ラセターとディズニー・スタジオを取材したもので、新作映画
ベイマックス」のプロモーションでもある。


脚本に関して、あんなに多くの人が参加して意見を交わし合うとは思わ
なかった。米国の娯楽作品は、たいていああいう感じなのか、それとも
ジョン・ラセター独特の方法なのかは分からないが、よく練れた物語は
こうして生み出されるのだな、と思った。


日本のテレビアニメはどうなんだろう。
製作委員会方式になってからは、たくさんの人が話し合う場が増えたの
だろうか。
ディズニーやピクサーとは、予算も時間のかけ方も違うのだから、比べる
のに意味はないけど。


対極にあるのは、宮崎駿作品だろう。
一人で絵コンテを切って、ほぼすべての作業に宮崎駿がダメ出しをする
ので、非常に作家性の強い作品になる。
本人の無意識も投影されるので、全体の整合性がとれていない部分もある
が、そこが作品に深みを与えているとも言えるだろう。



ベイマックス」ができるまでを見ていると、キャラクターの表情の
つけ方にこだわっているのが分かる。
あれは実際の俳優の演技の延長にあるもので、ベクトルは実写映画に
向いている。


米国でも「トムとジェリー」のようなテレビアニメには、大げさな
アニメらしい表現の流れがあって、おそらく現在でもやっているの
だろう。
やはり劇場用の予算の大きいアニメと、テレビアニメは比較できない。


ただ、米国のテレビアニメと日本のテレビアニメを比べると、日本の
アニメにはマンガの記号が流用されているのが目立つ。
汗とか顔にかかる斜線とか

こういうやつだ。


国産テレビアニメは手塚治虫の「鉄腕アトム」をアニメーションにした
ものからスタートしているため、ベクトルはマンガに向いているのかも
しれない。


どちらが優れているか、という話ではなく、好みの問題だろう。



ジョン・ラセターの庭にブドウ畑があるのは、ほう、と思ったぐらい
だったが、本物の蒸気機関車が走っているのには驚いた。
あれは鉄道オタクの夢だろう。さすが米国だと思った。