NHKで放送していた「魔法の映画はこうして生まれる」という番組を見た。
ジョン・ラセターとディズニー・スタジオを取材したもので、新作映画
「ベイマックス」のプロモーションでもある。
脚本に関して、あんなに多くの人が参加して意見を交わし合うとは思わ
なかった。米国の娯楽作品は、たいていああいう感じなのか、それとも
ジョン・ラセター独特の方法なのかは分からないが、よく練れた物語は
こうして生み出されるのだな、と思った。
日本のテレビアニメはどうなんだろう。
製作委員会方式になってからは、たくさんの人が話し合う場が増えたの
だろうか。
ディズニーやピクサーとは、予算も時間のかけ方も違うのだから、比べる
のに意味はないけど。
対極にあるのは、宮崎駿作品だろう。
一人で絵コンテを切って、ほぼすべての作業に宮崎駿がダメ出しをする
ので、非常に作家性の強い作品になる。
本人の無意識も投影されるので、全体の整合性がとれていない部分もある
が、そこが作品に深みを与えているとも言えるだろう。
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「ベイマックス」ができるまでを見ていると、キャラクターの表情の
つけ方にこだわっているのが分かる。
あれは実際の俳優の演技の延長にあるもので、ベクトルは実写映画に
向いている。
米国でも「トムとジェリー」のようなテレビアニメには、大げさな
アニメらしい表現の流れがあって、おそらく現在でもやっているの
だろう。
やはり劇場用の予算の大きいアニメと、テレビアニメは比較できない。
ただ、米国のテレビアニメと日本のテレビアニメを比べると、日本の
アニメにはマンガの記号が流用されているのが目立つ。
汗とか顔にかかる斜線とか
こういうやつだ。
国産テレビアニメは手塚治虫の「鉄腕アトム」をアニメーションにした
ものからスタートしているため、ベクトルはマンガに向いているのかも
しれない。
どちらが優れているか、という話ではなく、好みの問題だろう。
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ジョン・ラセターの庭にブドウ畑があるのは、ほう、と思ったぐらい
だったが、本物の蒸気機関車が走っているのには驚いた。
あれは鉄道オタクの夢だろう。さすが米国だと思った。