なぜ時代劇は滅びるのか

なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)

なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)

これ、ブログに書いてたら確実に炎上するよなぁ、と読んでいて思った。
時代劇を愛するあまり、こういう言い方になってしまうのだろうけど、
私はあまり時代劇に思い入れはないので、特に引っかかることなく
最後まで読んでしまった。
(ただ、大杉漣は大根役者だというのには同意する)


米国では西部劇がほとんど製作されなくなったが、事情は日本の
時代劇と同じだろうと思う。
クリント・イーストウッドが「許されざる者」を撮影したとき、
すでに馬に乗って演技ができる俳優がほとんどいなくなっていた
のだそうだ。


何事も全盛期があれば衰退期もあるもので、いつまでも輝き続ける
ジャンルはない。時代劇も同様だろう。
ファンタジーやSFも同じ道をたどっているように思える。



時代劇の場合、史実と違う、とクレームを入れる人が多いのだそうだ。
アニメでいう「設定厨」と同じようなものか。


ただ、筆者は前半で「細かいことはいいんだよ」と言いつつも、最後の
大河ドラマの項では「あまりに史実と違うのはちょっと」と苦言を呈して
いる。
あまりにひどい創作は、視聴者をしらけさせてしまうのかもしれない。


私も、物語の面白さを優先させるべきで、あまり細かいことを言っても
しょうがないと思うのだが、時代考証時代考証で面白い。

この本を読むと、食べ物や家具など、細かいチェックをしながら時代考証
していることが分かる。


他のジャンルでも、考証がしっかりしている作品は、いい加減なものより
好感が持てる。作り手にとっては厳しいかもしれないが。



何度も指摘されているとは思うが、念のため。
p 202 の終わりから4行目
× たとえ去勢でも
◯ たとえ虚勢でも


新潮社の校閲は業界一だと聞いていたが、宦官にされるのは困る。