
増補 エロマンガ・スタディーズ: 「快楽装置」としての漫画入門 (ちくま文庫)
- 作者: 永山薫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/04/09
- メディア: 文庫
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エロマンガの通史としては貴重なものだと思う。
これだけ網羅しているのはすごい。
普通はエロマンガなんて、自分の好みのものだけを読むもので、嫌いなものや
ジャンルの違うものは記憶にも残らないはずだ。
この本の筆者も、エロマンガの書評という難儀な仕事をしなければ、こういう
ものを残せなかっただろう。
読み通すと、自分の好みではないエロマンガでも、ちょっと読んでみようかな、
と思うものが必ずあるはずである。
そういう力がこの本にはあると思う。
↓
日本のエロマンガは、表現の多様さにおいて世界一だと思う。
(もともと江戸時代の春画からの伝統もあるだろう)
かなりニッチな欲望も、たぶん誰かがマンガにしている。
それがわりと手軽に読める環境にあるのは、人類史上なかなかないことでは
あるまいか。
外国のエロマンガはどうなのか、詳しい人がいたら教えていただきたい。
たぶん、アンダーグラウンドでしか流通していないだろうし、そもそもポルノを
マンガで表現している文化圏が広まっているのかも疑問だ。
その日本で、表現の規制をしようとしているのは許せない話である。
被害者が存在する児童ポルノは全滅すべきだが、マンガやアニメを規制するのは
根拠がないのだ。
規制派は、主観的には清く正しいと思っているだろうが、実際は自分の言う通りに
ならないと不機嫌になる、幼稚な権力者である。
そんな奴らに屈してはならない。
↓
この本では、エロマンガのどういうジャンルが発展していったか、という流れで
まとめられている。
実は私がもっと興味があるのは、どういう表現がいつ誰によって発明されて、
普通にみんなが使うテクニックになっていったか、という技術史である。
一般的なマンガの技術史も知りたいが、エロマンガは特にそのテクニックが
広まりやすいのではないかと思う。
これは編集者ではなく、実際にマンガを描いている人がよく分かるのではないか。
誰か調べてくれたらいいのだが。
ちなみにポピュラー音楽における技術史というのはあるのですかね?
あのリフは誰が考えていつからみんなが使うようになったのか、とか、そういう
歴史を勉強してみたいのだが。
菊地成孔あたりがやっているのかな。