竹と樹のマンガ文化論

ツルッと読める良い対談だった。


私は、マンガ家が大学で何を教えているんだろう、とちょっと斜めに見て
いたのだが、竹宮恵子の話を読んで、なるほど次世代や別の文化圏の人
たちのためにやっているんだ、と感心した。


長年疑問だった、なぜ「風と木の詩」が発表されたあたりで、急に
そういう少女マンガが増えたのか、という答も書いてあった。
単に才能のある少女マンガ家が集っていた「大泉サークル」で流行って
いたから、という理由だった。


それにしても、トキワ荘にしろ大泉サークルにしろ、なぜ一時期に
時代を変えるような人が一か所に集まってくるのだろう。
マンガに限らず、いろんな分野で起こっていることで、単なる偶然とも
思えない。


おそらく、ブレイクスルーが起こる前には、同時多発的に面白いことを
やろうとする人が現れて、情報の集積点に集まってくるのだろう。


そのとき大切なのは、この対談の最初の方に出てくる、技術のオープン
ソースという考え方だと思う。
これは俺が考えたものだから誰にも使わせない、ということをさせず、
面白いことは誰でも真似をして、より面白いものにしていくことだ。


イノベーションはそういう現場にしか生まれない。
なので、ネットでちらほら見る、アレはなんとかのパクリ、という
書き込みは、文化的に痩せたものを感じる。


ところで、私が前から言っている、エロマンガにおける技術の広がり、
という研究は、さすがに京都精華大学でも行っていないのだろうか。
エロマンガほど技術模倣が行われているジャンルもないと思うのだが。