科学はどこまでいくのか

科学はどこまでいくのか (ちくま文庫)

科学はどこまでいくのか (ちくま文庫)

科学哲学の啓蒙書という読後感があった。
私の知能ではついていけない部分もあって、もう少し噛み砕いて
説明していただきたかったが、頭のいい人なら普通に読めるかも
しれない。


もともとは1995年に出版され、2006年に文庫になっている。
文庫になった時点で、補足説明のあとがきがついている。


1995年当時から原発の危険性について書いてあるのは先見の明が
あったと言うべきだろう。
また、2006年時点ではまだ iPS細胞という名前は出ていないものの、
その可能性については述べられている。


はたして巨大な産業となった科学を、私たちは軟着陸させることが
できるのかどうか、という問いを投げかけて終わっているけれど、
あまり明るい期待は持てない。


強欲で声の大きい人だけが得をする仕組をなんとかしなければなら
ないと思うのだが、私ひとりの声はあまりにもか細い。
いまの仕組を管理している人は、か細い声をか細いまま、連帯させ
ないようにしている。


が、考えてみると、人類の歴史は強欲で声の大きい人が勝ち残って
きた結果なのだから、もうこのまま突き進んで、最終的には全体を
巻き込んで滅びたらいいと思う。
あまりにも無責任だが、貧乏くじを引くのは未来の人類である。