美人

ときどき「頭いいですね」とか言われることがある。
私は自分がバカだということを知っているから本気で言っているとは思わないが、それでも
悪い気はしない。


こういう面映い気分は、女の子が「可愛いですね」とか「美人だね」と言われるのと同じこ
とではないかと思う。


そして、もし本当に美人に生まれていたら、彼女はものごころつく頃から周りの人にさんざ
ん「美人だねぇ」と言われているはずだ。
自分がどれくらい美しいのか、比較対象を探し始めるのはいつぐらいからだろう。
小学生ぐらいで、すでにそういう作業をしているのではなかろうか。


都会で生活していたら、モデルだのタレントのスカウトが寄ってくるだろうから、そういう
事実の積み重ねで「あたし、やっぱり美人なんだ」と自信もつくはずだ。
田舎ではそういうことはないが、全く無自覚に育つということはないと思う。


ふつう、思春期には自分の容貌について悩むものだが、美人も同様に悩むのか。
まあ、美人には美人なりの悩みがあるのかもしれないが、それほど深刻なことはあるまい。
もしかしたら、一般とは違った自分の不安や孤独を感じているのかもしれない。


彼女らの自意識はどうなっているのだろうか? 
美人であることをアピールすると、あまりいいことがない時代が長かったと思うが、現在は
大いに利用してもいいことになっている。。
例えば、女子アナやキャビンアテンダントはそういう種類の人たちだろう。


ところが、美人が美人であるがゆえの悩みを告白したようなものは、あまり見たことがない。
あるいは、美人だからこんなに人生が楽しい、という話も、本当に本人がしたらムカつかれ
るだけかもしれぬ。実際はそう思っているだろうけど。


ずっと前に井上章一の「美人論」を読んだけど、内容はあらかた忘れてしまった。

美人論 (朝日文芸文庫)

美人論 (朝日文芸文庫)

本棚のどこかにあるはずだが、探すのが面倒くさいのでそのままにしてある。