Boaz2013-08-03

Eテレ宮崎駿半藤一利の対談番組をやっていた。
丁々発止のトークかと思いきや、ふたりともプロデューサーらしき
画面には映っていない人に向いて話をしており、あんまり面白く
なかった。



むしろ、番組内に挿入されていた、庵野秀明との記者会見での言葉が
印象に残った。
庵野秀明によると「宮さんは70にして大人になった」という。
風立ちぬ」を見ると、確かにそんな感じがする。
(もし、宮崎駿が1950年代の日本映画全盛期に、実写の映画監督をして
いたとしたら、三作目か四作目で「風立ちぬ」を撮っていたと思う)


おそらく、子供向けのアニメを作ろう、という自らの縛りから解放
された作品だからではないだろうか。
なにしろ、アニメが「まんが映画」と呼ばれていた時代から仕事を
していた人である。


私は「天空の城ラピュタ」は、子供向けの娯楽まんが映画というくくり
の中で、最高の作品のひとつだと思う。
この映画がどうも気に入らない人は、そのくくりが引っかかるのでは
ないだろうか。あるいは高二病であろう。



もうひとつ、番組の中で宮崎駿は、ゼロ戦を描くのは本当に難しい、
ということを言っていた。実に微妙な曲線を使っており、アニメで
再現するのが困難だったと。


風立ちぬ」の中で、主人公がサバの味噌煮定食を食べており、その
とき口から出したサバの骨の曲線に美しさを見出す場面がある。


なにか独創的なものをつくる人は、美しいものに奉仕するのだろう。
その美しさをどこから発見するかが、センスというものなのかもしれ
ない。



私はどういうわけか、榮久庵憲司のデザインしたキッコーマンの卓上
しょうゆ瓶を思い出した。

この形をビシッと決めるまでに、どのくらいの試行錯誤があったのか
分からないが、優れたデザインはずっと使われ続けることで証明され
ていると思う。


日本車のデザインはどうなのだろう? 
素人なのでどうこう言えないのだが、きっと優れた仕事をしている人が
いるはずである。


風立ちぬ」を見たカーデザイナーの感想を読んでみたいものだ。