Eテレで宮崎駿と半藤一利の対談番組をやっていた。
丁々発止のトークかと思いきや、ふたりともプロデューサーらしき
画面には映っていない人に向いて話をしており、あんまり面白く
なかった。
↓
むしろ、番組内に挿入されていた、庵野秀明との記者会見での言葉が
印象に残った。
庵野秀明によると「宮さんは70にして大人になった」という。
「風立ちぬ」を見ると、確かにそんな感じがする。
(もし、宮崎駿が1950年代の日本映画全盛期に、実写の映画監督をして
いたとしたら、三作目か四作目で「風立ちぬ」を撮っていたと思う)
おそらく、子供向けのアニメを作ろう、という自らの縛りから解放
された作品だからではないだろうか。
なにしろ、アニメが「まんが映画」と呼ばれていた時代から仕事を
していた人である。
私は「天空の城ラピュタ」は、子供向けの娯楽まんが映画というくくり
の中で、最高の作品のひとつだと思う。
この映画がどうも気に入らない人は、そのくくりが引っかかるのでは
ないだろうか。あるいは高二病であろう。
↓
もうひとつ、番組の中で宮崎駿は、ゼロ戦を描くのは本当に難しい、
ということを言っていた。実に微妙な曲線を使っており、アニメで
再現するのが困難だったと。
「風立ちぬ」の中で、主人公がサバの味噌煮定食を食べており、その
とき口から出したサバの骨の曲線に美しさを見出す場面がある。
なにか独創的なものをつくる人は、美しいものに奉仕するのだろう。
その美しさをどこから発見するかが、センスというものなのかもしれ
ない。
↓
私はどういうわけか、榮久庵憲司のデザインしたキッコーマンの卓上
しょうゆ瓶を思い出した。
この形をビシッと決めるまでに、どのくらいの試行錯誤があったのか
分からないが、優れたデザインはずっと使われ続けることで証明され
ていると思う。
日本車のデザインはどうなのだろう?
素人なのでどうこう言えないのだが、きっと優れた仕事をしている人が
いるはずである。
「風立ちぬ」を見たカーデザイナーの感想を読んでみたいものだ。