- 作者: 長山靖生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/07/14
- メディア: 新書
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楽しめる。
ゴジラシリーズやエヴァシリーズを概観するにはもってこいの一冊なので、特撮や
アニメに縁のない人は読んだ方がいいかも。
本書のあとがきに
世間では、特撮とアニメは似たようなものと思っているが、マニア層は結構ずれている。
それどころか、どちらがより優れた表現方法かをめぐってお互いに競い合い、反目している
ふしさえある。第一、メインの年齢層が違っている。特撮ファンの方が平均年齢は高く、
アニメ・ファンには若者が多い(とはいえ後者も、そろそろ若くない者がだいぶ含まれている)。
世代的な断絶線は1960年前後。これより前に生まれた人には特撮ファンが多い。特撮は
「実写」であり「本格」だと思っている。一方、60年以降に生まれた者は、特撮には限界が
あり、アニメこそ夢を全開できる表現方法だと考えている人が多い。こうした思い入れは、
幼少期に熱中した作品に由来している。でも、どちらのファンも、本当は両方とも見てきたし、
両方とも好きなのだ。隠してもダメだ。
とある。
私はどちらかと言うとアニメの方が好きな人間で、特撮は「ウルトラセブン」の再放送を
見て感動したぐらいで、それほど愛があるわけではない。
ゴジラシリーズも、映画館で見たのは平成ゴジラの最初のやつを友だちに誘われて行った
ぐらいか。1954年版のゴジラなど、見ておくべきものはビデオで後追いした。
(いま思い出したが1988年ごろ、上野の映画館でガメラシリーズのオールナイト上映が
あって、興味があって見に行っている。当時はオールナイトで特撮映画がよく上映されて
いたっけ)
アニメだって、ずっと見てきたわけではないし、オタクと言えるほど知識があるわけでも
ない。まあ、一般層と同じと言ってもいいだろう。
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そういう素人みたいな人間が何の予備知識もなく「シン・ゴジラ」を見て、どえらい衝撃を
受けたのだから、特撮オタクにとってのインパクトはいかほどのものか。
そして、エヴァンゲリオンシリーズは全て見ている私からしても、実写でとんでもない作品を
作ったな、とびっくりしている。
庵野秀明は、特撮とアニメの間を架橋する人だったのだなぁ、という当たり前のことを思った。
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ときに、特撮からアニメへの影響は様々な作品に見られるけれど、逆にアニメから特撮への
影響があった作品はどのくらいあるのだろうか?
日本の映画ではあまりなくて、むしろハリウッド映画の方が顕著なのでは、と思う。
このあたりに、実写の日本映画における行き詰まりが現れているのではないか。
娯楽作品に限れば、アニメーション監督に才能が集まっているのは明らかだと思う。
たしか「進撃の巨人」にも長谷川博己と石原さとみが出演していたはずだが、役者が同じでも
「シン・ゴジラ」と比べるとどうだろうか。
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そうそう、「シン・ゴジラ」で伊福部昭の楽曲が使われているが、すべて昔の音源を
(たぶん)リマスターしたものである。
それとは別に鷺巣詩郎のサントラも使われているが、これは新録音だろう。
伊福部昭の音は昔のまま使う、というのはひとつの見識だと思う。
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「シン・ゴジラ」について書きたいことはたくさんあるのだが、もう1回見てからにしよう。
それに頭のいい人がもっとうまくまとめるだろうから、それを読むのも楽しみだ。