40前後、まだ美人? 

なぜか岸本葉子のエッセイをまとめて読んでいる。


この文庫本の解説は阿川佐和子が書いているが、「がんから始まる」を
先に読んでから、この「40前後、まだ美人?」を読んでしまった、と
あり、自分と同じだ、と妙に親近感を持った。


その解説にある通り、著者ががんになる前に書かれたエッセイを、読者が
その後の運命を知りつつ読むのは、なんだか切ないことだった。
(いや、現在も元気で活躍されているから、こう思えるのである)



私が好きなのは“艶姿のできるまで”というやつで、伝線したストッキング
を、駅ビルのトイレで履き替える話が冒頭にある。
コミカルなのだが、妙にエロい。


あと“脱ぎっぷりのよさ”という、学生時代に行った銭湯の話もよかった。
ていうか、子供のころに銭湯に行ったことがない、というのに驚いた。
よほどのお嬢様だったのか? 



なんだかオッサンのイヤらしい視線で選んでいるから、そんな話ばかりの
ように思われるかもしれないが、ほとんどは一人暮らしの女性の日常を
軽妙に綴ったエッセイ集で、インテリアやファッション、料理などの話題
が満載である。


「がんから始まる」を挟んで、50代もこのようなエッセイが書かれる
ことを望む。ていうか、もう出ているのか。
それを読むのを楽しみにしよう。