わたしの渡世日記

わたしの渡世日記〈上〉 (新潮文庫)

わたしの渡世日記〈上〉 (新潮文庫)

わたしの渡世日記〈下〉 (新潮文庫)

わたしの渡世日記〈下〉 (新潮文庫)

ツイッターbot高峰秀子の言葉をたまたまフォローしていたら、妙に面白かった。
なので古本屋で自伝を見つけて何となく買って読んでみたら、波瀾万丈な人生で驚いた。
何より、文章がうまい。


文庫本には沢木耕太郎が解説を書いており、私の感想もほぼ言い尽くされている。
これだけ版を重ねているのだから、面白さは保証付きである。



私にとって高峰秀子は、映画「綴方教室」の美少女っぷりでその名を覚えた。
5歳から子役をしており、綴方教室は14歳のときの作品で、いま見てもすごい。
モノクロ映画だが未見の人は是非。


大人になってからの高峰秀子は、名作、大作に出演する大女優になっているの
だが、私にはなぜか印象にない。上手すぎるからだろうか。
ただ、このエッセーを読んだので、再び彼女の映画を見てみようと思う。



日本映画の黄金期に女優の旬を迎えていたこともあり、とにかく人脈がすごい。
梅原龍三郎谷崎潤一郎にご飯をおごってもらったりするし、新村出もファン
だったそうだ。


太宰治の遺作「グッドバイ」は高峰秀子の主演映画のために企画された作品だし、
助監督時代の黒澤明とは恋仲になり、母親に引き裂かれている。



この母親というのは、高峰秀子の実父の妹であり、高峰秀子は4歳のときに彼女の
養子になっている。


人として最低の女で、教養もなく、高峰秀子が稼いだ金を片っ端から使い込む。
よく我慢していたと思うが、高峰秀子は晩年まで面倒をみている。


こんな養母のもとでグレなかったのは奇跡に近い。
普通なら杉田かおるのようになっているだろう。


私が思うに、ほとんどの子役は大成しない。
役者を続けていたとしても、破綻した人格であることが多い。
坂上忍などはその代表ではなかろうか。


その遠因は、子役の親であろう。
子供を芸能人にして一山当てたいと考える人間に、まともな人はあまりいない。
テレビや映画に出演している子役を見ると、可愛いというよりは気の毒になる。



どうでもいいが、数年前少年サンデーで野島伸司原作の「ノベル」というマンガが
連載されており、かなりつまらなかったがダラダラと続けられ打ち切られた。

が、そのマンガでは子役の一面の真実が語られており、そこは興味深かった。


さらにどうでもいいが、いま活躍している声優には子役上がりがちらほらいる。
彼らの多くは競争率の高い仕事を確保しており、もしかしたら演技力を活かせる
道なのかもしれない。