大鵬が亡くなった。
もちろん私は全盛期を全く知らず、ただ名前だけを目にするぐらい
だった。
相撲取りもそうだが、ほとんどのスポーツ選手は40歳までに引退する。
現代はもっと選手寿命が伸びているようだが、昭和時代はそうだった。
引退してから長生きすると、同時代の人は記憶にあるだろうけど、それ
以降の人たちにとっては、伝説の人になってしまう。
だから、亡くなったと聞いてもピンと来ない。
作家や俳優は、人気があれば死ぬギリギリまで仕事をするだろうから、
亡くなったときと人びとが感慨を抱くタイミングが重なる。
特にテレビによく出ている人だとなおさらだろう。
もっとも、死んだことがニュースになるのはほんの一握りの人だけで、
普通の人はいつ死のうが小さく死亡広告が載るぐらいである。
それに、自分の人生の全盛期がいつだったのかが分かるのは本人ぐらい
なもので、誰も回顧してはくれない。
だから老人になると自叙伝や回顧録を残したくなるのだろう。
そんなものは要らない、と思う人は、けっこう充実した老後を送って
いるのかもしれない。