いまの金融は誰を幸せにして、誰を不幸にしているのか、為政者は
考えるべきである。
さらに言うならば、国際競争というのはなんで起こっているのか、
ということも問われるべきだろう。
それは「ぜんぶ俺のものにする!」という欲望があるからだ。
古来、人間が認識できる空間と、人間が抱く欲望はつりあっていた。
アレクサンダー大王とて、フビライ・ハンとて、彼らが認識できる
「ぜんぶ」は地球よりも小さかった。
こういう異常な征服欲を持つ人がときどき現れたとしても、そのダ
メージを吸収できるぐらい地球は大きかった。
しかし、いまや人間は地球というものを認識してしまった。
本当に知性のある人間なら、その有限性を考えて、いかに資源を長
持ちさせるかに知恵を絞るだろう。
だが、国際競争が大好きな人たちは、反対にすべてを手に入れよう
としている。
実に不毛な欲望のために、他の人たちを次々と巻き込んでいるのだ。
このような幼児性は、どこかで矯正されなければならないのだが、
近代はその方法を失ってしまっている。
どうしたらいいのだろう。