変顔の意味

先日、「探偵!ナイトスクープ」を見ていたら、中1の女子から、私を
乙女にしてほしい、という内容の依頼があった。
友だちに、あなたは乙女らしくない、と言われて、乙女になるための5
カ条というのを渡されたが、どうしていいのか分からなくて困っている、
という。


残酷なことを言えば、その友だちは可愛いタイプで、依頼者の女の子は
ブサイクなタイプだった。
そして、依頼者の女の子はファッションに対する興味や、異性に媚びる
技術に何の興味もなかった。


そこで桂小枝探偵は、雑誌の読者モデルの子たちを連れてきて、依頼者
の女の子の服をコーディネイトして変身させる。
その姿をみて、友だちは驚いて、乙女になった、と言う落ちで終わる。


だが、顧問の桂ざこばは、あなたはそのままでいい、とフォローしていた。
さすがである。


私が感じたのは、女の子が受けるファッションの圧力である。
可愛くないとダメ、という暴力的ともいえる思想に、小学生のころから
曝され続けているのが、とても恐ろしく感じた。


そのイデオロギーの産物として「変顔」というものがあるのではないか。
変顔(へんがお)とは、携帯やプリクラの被写体になるとき、わざとブ
サイクな顔をすることである。


本来ならば、可愛い子がブサイクな顔をすることで笑いが生まれる。
ブサイクな子がブサイクな顔をしても、あまり意味がない。
実際に、どのくらいの割合でブサイクな子が変顔をするかは知らないが、
たぶん可愛い子と変わらない確率でやっているはずである。


なぜ、わざとブサイクな顔をするのか。
それは、カワイイということについて自覚的である、というメッセージ
を発信するためである。


いつも同じ顔で被写体になっていると、気取っているとか本気で自分が
可愛いと思ってるんじゃねーの、という誤解が生じる。
彼女たちの同調圧力はすさまじいものがあるので、犠牲にならないよう
にするには、実はこんなブサイクな顔もできます、というところを見せ
なければならない。


まあ、本人たちは面白いからやっているだけだ、と思っているだろうけ
ど、無意識ではそういう葛藤があるのではないかと。


女性アイドルが同性受けを狙うならば、まずは変顔であろう。