とあるラノベの世界観

インデックスとレールガンのアニメを見終えて、インデックス2期目も
楽しみに追いかけております。
小説は読んでおりません。


私はどちらも楽しめましたが、レールガンの方が萌え方面にシフトして
いたかな、と思います。


そんな、インデックスたんに噛みつかれてぇなぁ、と思っているオッサ
ンがイチャモンをつけます。ファンの方は怒らないでね。


*


これらのアニメの原作はラノベで、学園都市という設定がある。
人口約230万人で8割が学生という。


小説では、たぶん細かい設定があって、学生ばかりの都市でも矛盾がない
ような理屈がつけられていると思うが、この発想は世の中の仕組みをあま
りよく分かっていない人のものである。


たとえば、物語の冒頭に腐りかけたやきそばパンが出てくるが、これは誰
が作っているのだろうか? 学生のバイトか、パン屋さんか? 


園都市は壁で隔離されているらしいが、生鮮食料品はどうやって搬入さ
れているのだろうか。
ファミレスやコンビニは普通に営業しているが、誰が運営しているのか。


また、学校の先生や学生が警察の任務を兼業しているけれど、他の行政は
誰がどうやっているのか、アニメではまったく分からない。
上下水道の保守点検やゴミの収集はどうなっているのかも。


さらに言うなら、超人的な能力の少年少女が多数いるけれど、自衛隊や米
軍が放っておくのが不思議だ。
一方通行くんは、何を担保におとなしく学園都市内で生活していたのだろ
うか? まともな政府なら、彼を放し飼いにはしないと思う。


これらの疑問について、おそらく作者はきちんと矛盾のない設定を答えら
れると思う。むしろそういう設定を作るのが大好きな人だろう。


しかし、この世界観は、社会に出たことがない学生のものである。
知識としては知っているものの、自分のまわりでなんとなくまわっている
ものとしかとらえられていない。


親からお金を出してもらって勉強することが当たり前で、学校内での成績
が序列のすべてであるような世界観は、おそらく読者の成熟を促さない。


つまり、これは学生が学生のために書いた小説である。
それが大ヒットしているのは、作者も読者も大人になることを拒否して、
いつまでも学生でいたいと思っているからだ。


文学というのは、大人になれと読者にせまるウザさがあるけれど、ラノベ
にはそんなものはない。
だから若い読者に読まれるのである。


それは悪いことなのかと言われると、うーん……と考えてしまう。
アニメ「けいおん!!」の批判として、何にもない日常しか描かれていない、
という人がいる。でも、私にはそれが面白かった。


萌えというのは、成熟した大人には分からない何かなのかもしれない。
(その意味で、小萌先生というキャラクターは象徴的だ)


ところで、学園都市には何百万人もの学生がいるが、彼らは必ず学校を卒
業するはずである。大学院から研究者になる人はごくわずかだろう。
そうすると、彼らはいったいどこに就職していくのだろうか? 
(学園都市内にはその受け皿はないはずである)



もうひとつ、イチャモンついでに言うなら、主人公の上条くんがやたらと
説教するのは、作者が物語を作れないからである。
基本パターンは、悪意をむき出しにした敵と戦って、ピンチになるものの
知恵と勇気で切り抜けて勝つ、というもので、作者のメッセージは上条く
んに語らせるしかないのだ。


むしろ作者にとっての興味は、宗教や科学のウンチクをこれでもかと入れ
ることに集中しており、読者もそれを楽しんでいる。


こういうタイプの商品が発達しているのは、やはり日本だけなのだろうか? 
ラノベを外国語に翻訳することは可能なのか、とミサカはミサカは思った
りして。