やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10

ラノベとしての安定感があって、妙にスムーズに読めた。
スムーズに読めるということは、それだけ作者の力量が上がっている
ということだろう。上から目線ですいません。


今回の奉仕部のミッションは、葉山隼人の進路が文系か理系かを確認
すること。
ストーリーラインがしっかりしているので、モヤモヤした読後感はない。


逆に、一色いろは比企谷八幡にからむことで、雪ノ下雪乃由比ヶ浜
結衣のダブルヒロインが嫉妬する描写に磨きがかかって面白かった。
ブコメというエンジンの燃料は悋気である、とでも言えようか。


あと、太宰治の「人間失格」を読んだのは誰なのか、はっきりさせて
ないところに、ちょっとしたテクニックも感じる。


わたりんは ぶんがくてきしゅほうを らのべにとりこんだ! 
わたりんの レベルがあがった! 



自分の属する世界から抜けだそうとする若者、というテーマは普遍的な
もので、だからこそ多くの読者は共感していると思う。


私は途中まで、葉山隼人は文系も理系も選ばず、いきなり海外留学でも
するのではないか、とさえ思っていた。
そこまでやったら、主要なキャラをひとつ消してしまうことになるので、
さすがに無理な展開だろうけど、本人の幸せのためなら選択肢のひとつ
としてあるのではないか、とも思う。


そして、雪ノ下家のラスボスである母親が登場し、いよいよ終盤に向けて
駒は揃ったみたいな感じがする。
ただ、今のところ悪役は雪ノ下陽乃だけで、はたして彼女だけで物語を
うまく収束させられるのか、ちょっと心配でもある。


今回、ほぼ出番がなかった平塚先生の大活躍を期待しよう。



多くの人が指摘しているとは思うが念のため。
112ページ後ろから6行目の「固辞」は「誇示」の間違いでしょう。
入稿がギリギリだったから校正の人も見逃したのかも。