漢字の記憶

小学生に漢字を教えていると、前に習ったことをすぐに忘れてしまう子がいる。


私自身が小学生のときはどうだったのか、もうすっかり忘れてしまっているが、
いまだに漢字を忘れていないところをみると、どこかの時点で記憶できていた
のだろう。


しかし、年をとるにつれて、新しく漢字を覚えることは少なくなっていく。
読めるけれど書けない漢字が多くなってくるし、そもそも漢字を手で書くこと
自体が少なくなってきているから無理もない。


日本人の漢字能力は、一時は本家の中国人を追い越していたはずである。
明治時代に「神経」とか「経済」ということばを作ったのは日本であり、これ
らのことばはそのまま中国に定着した。


現在は漢字になおすよりも、そのままカタカナで表記するようになったため、
漢字の運用能力は一気に低下しただろう。
コンプライアンスとかアイデンティティーなんて、どうにか漢字二字の熟語に
できなかったのか、と思う。




小学生たちがなかなか漢字を覚えられないのは、漢字だけを覚えようとするか
らだろう。
文脈からどんな使い方をするかを記憶できれば、少なくとも読めるようにはな
るはずである。


私などはマンガで漢字をたくさん覚えたクチだが、最近の子はどうなんだろう
か。テレビ番組のテロップで覚える子が多いのかもしれない。
そうなると困るのは「拉致」を「ら致」としたりする表記だ。
ひらがなまじりにするぐらいなら、最初から漢字で書けよ、と思う。