お客様は神様か

あらゆることがサービスの対象となり、与える側と受ける側の立場が妙なことに
なっている。
そこでは「お客様は神様です」が原則になっており、神様はしばしば暴力をふるったり
訴訟を起こしたりする。


どうしてこんな風に狂ってしまったのだろうか? 


あらゆることがサービスの対象になるということは、それが貨幣で換算されるということ
だろう。
本来、お金で決められない価値にも値段がついていく。


そうすると、経済合理性とかいうものの優先順位がどんどん高くなっていき、お金を
持っている人間は偉いということになる。
資産数兆円の億万長者から、お年玉を持った小学生まで、とにかくお金を払う側と受け
取る側に決定的な落差ができ、その位置エネルギーが商売を加速させている。


この原則が、医療とか教育などの公共的なものにも入り込んでくると、話はややこしく
なる。建前では失敗が許されない分野だから、いったん「消費者」の立場になってしま
うと、これほどクレームをつけやすいところもないだろう。


もしかしたら、働いているときは奴隷のような気分でいるので、いったんお客様になれ
ば王様のように振舞える快感を持つ人がいるのかもしれない。
客観的にみれば、すごく醜いことだけれども。


かといって客が卑屈になってしまうのも困る。
最近は、信じられないほど無礼なことをする人がいて、よくこれで商売が成り立つな、
と思うこともしばしばある。


そのあたりのバランスは考えなければならないけれど、お互いが敬語でやりとりするく
らいの関係でいるのが一番いいのかもしれない、と思う今日このごろです。
敬語って本来そういう役割のものだろうし。