スポーツとマンガ

朝日新聞のスポーツ欄に「マンガの力」という記事が連載されている。
6〜7日付けには「スラムダンク」、8日には「キャプテン翼」が採りあげられ、マンガが
競技人口に及ぼした影響などを分析している。


私から見ると、大手メディアがようやく気づいたか、という感じもするが、考えてみれば
マンガが、しかも一つの作品が、特定のスポーツの競技人口を急激に増加させることは、
他の国ではあまりない現象ではあるまいか。


というのも、日本以外の国では、伝統的に人気のあるスポーツ以外の競技人口はそれほど
おらず、そもそも子供が興味を持つ選択肢も限られているのではなかろうか、と思う。


恐らく外国では、海外で超人的な活躍をする人に憧れて、そのスポーツを始める少年少女
がいたとしても、面白いマンガを読んで興味を持つということはないだろう。
日本はマンガの影響力が他の国に比べて異常に大きく、かつ学校の部活動などでエントリ
ーしやすい環境にあるのだと思う。


その牽引役になったのは、黄金期の少年ジャンプであろう。
バスケットにおける「スラムダンク」、サッカーにおける「キャプテン翼」はもちろん、
囲碁における「ヒカルの碁」も、競技人口の裾野を広げる役割を果たしている。


私は、心理的には、ジャッキー・チェンの映画を見てクンフーの真似をするのと同じでは
ないかと推測するが、架空の物語を通じて現実のスポーツが興隆するのは極めて珍しい
し、研究に値するテーマではないかと考える。


もっとも、スポーツによっては競技人口が増えないこともあるだろう。
現在、少年ジャンプで連載されている「アイシールド21」というアメリカン・フットボー
ルのマンガは人気があるけれど、それによってアメリカン・フットボールの競技人口が
急増したという話は聞かない。
もともと小中学校でアメリカン・フットボールをやっているところが少ないからだろう。


そもそも、マンガの編集サイドとしては、特定のスポーツの競技人口を増やそうという
目論見はゼロではないにしても、純粋に面白いマンガにしたいという意識の方が強いだ
ろう。


一時期はメディアミックスによる演出が功を奏したこともあっただろうが、それはあく
までもゲームやアニメへの展開であって、現実のスポーツまで視野に入れていたとは思
えない。
たまたまマンガが大ヒットして、子供が始めやすいスポーツだったからブレイクしたと
いうところだろう。


ただ、これからはマイナーなスポーツだってマンガの力によって勢いが出てくるかもし
れないという可能性は否定できない。
少年ジャンプは、むしろマイナーなスポーツを面白いエンターテインメントにする義務
があるのかもしれない。


たとえば、米国の4大スポーツのうち、アイスホッケーだけは、まだ大ヒットマンガが
ないはずである。
次に狙うとしたら、ここではないか。
もっとも、アイスホッケーは気軽に始められるスポーツではないので、マンガもブレイ
クしないかもしれないが。


バレーボールは、少年サンデーに連載されていた「健太やります!」が記憶に残ってい
る。最近だと少年チャンピオンで連載している「フルセット!」があるが、いかんせん
マイナーなままで終わる気がする。


あとはモータースポーツ関係だが、これも普通の少年が気軽に始められるものではない
ので、どうしても野球・サッカー・バスケットのマンガが企画されるのだろう。
狙い目は卓球かもしれない。松本大洋の「ピンポン」を超える作品が生まれれば、卓球
ブームが再び起こるやもしれぬ。


少年ジャンプよ、卓球のマンガを企画したらどうだろうか。


本文と写真はまったく関係ありません

从*` ロ´)<卓球は得意やけん!