黒人の知性

10月22日付けの朝日新聞にこんな記事が載っていた。

「黒人の知性、我々と違う」

【ロンドン=土佐茂生】DNAの二重らせん構造を発見して1962年にノーベル医学生理学賞を受けた
米国の分子生物学者ジェームズ・ワトソン博士(79)が英紙とのインタビューで、黒人が人種的に
劣っているという趣旨の差別発言をし、大きな波紋を呼んでいる。


 同博士は14日付のサンデー・タイムズ紙で「アフリカの将来を悲観している」とし、「社会政策
はすべて、彼ら(=黒人)の知性が我々の知性と同じだという前提を基本にしているが、すべての
研究でそうなっているわけではない」と語った。さらに「黒人労働者と交渉しなければならない雇
用主なら、そうでないことを分かっている」と続けた。


 この発言に対して、同博士が所属する米ニューヨーク州のコールド・スプリング・ハーバー研究
所の理事会は18日、「遺憾だ。我々は、ワトソン博士の発言につながるような研究は行っていない」
と厳しく批判。博士を停職とすることを決めた。ワトソン博士は謝罪し、帰国した。


さて、この記事については二通りの反応があると思う。
一つは、ノーベル賞受賞の科学者といえども、偏見からは逃れられないのだなぁ、という意見と、
さすがにノーベル賞受賞の科学者だけあって、自由に考えられるのだなぁ、という意見だ。
私は後者に与する。


米国社会では、表向きは人種差別はタブーだから、このような発言は許されない。
ワトソン博士も、人種差別が当たり前の英国人のインタビューだから、つい口を滑らせてしまった
のかもしれない。


私は、ワトソン博士が、科学者の目で見ると黒人は実はバカではないのか、と本気で考えていたの
だと思う。


というのも、ジンバブエの例で分かるように、せっかくうまくいっていた国も破綻してしまう原因
を分析していくうちに、次々と独裁者を生むのはその人種の知性が劣っているからではないか、と
いう結論になったのだろう。


もちろん、アフリカの政治的混乱の要因は他にもたくさんあるのだろう。
しかし、平均的なアフリカ人の知性は、他の地域の人間の比べて優れているのか劣っているのかは
調べてみなければ分からない。


もし、何らかの差異が認められるとしたら、それは人種差別ではなく科学的な結果であろう。
いや、科学的という言葉でアーリア人の優越性を論じていたのは誰だっけ、という反論もあるだろ
う。私も安易に人種間の優劣を科学的という言葉で結論づけるわけにはいかないと思っている。


それでも、ひとつのアプローチとして研究してみる価値はあると思うのだ。
そして、研究した結果、人種間の優劣など存在しない、と結論づけられたら、改めて別の角度から
アフリカの政治的貧困について語るべきだ。


実はとっくにそういう研究はなされており、ワトソン博士や私はその論文を知らないだけなのかも
しれないけど。そうであることを望む。