ふだんコンビを組んでいない芸人が、ネタではなくダラッとした会話をして笑わせる番組がある。
テレビでそれを初めてやったのは「鶴瓶上岡のパペポTV」だと思う。
この映像を見ると、2人の間にはバケツで作った灰皿がある。
トークをしながらタバコを吸っていたのだ。
そのうち鶴瓶がタバコを止めると、バケツは縦半分にカットされ、上岡だけが吸っていた。
どうでもいい話だが。
次は「笑っていいとも」のタモリとさんまのトークである。
2人の間には、変なテーブルがある。
何に使うというわけでもなく、ただ喋るときに手を置いたりしている。
しかし、なければないで何となく不自然な感じもする。
「パペポ」は、芸人が楽屋で話す面白いトークをテレビでやってみよう、というコンセプトで企
画されたものだが、それを完成の域にまで高めたのはダウンタウンの「ガキの使い」のトークで
ある。
ネタ振りとしてハガキが読まれ、松本が膨らませていく、というパターンで、ジャズでいうとこ
ろの即興演奏だ。
よく見ると、ハガキを置いた台はしばらく2人の間に置かれ、ときどき手をついたりもたれたり
している。
もともとダウンタウンはコンビなので、間に何もない舞台でも喋れるし、実際トークの最初には
ハガキを載せた台はない。
だが、ハガキの台があると、不思議とトークが安定するような気がするのだ。
最後は「きらきらアフロ」のトークである。
ここにも鶴瓶とオセロ松嶋の間にはテーブルがあり、ときどき手を置いたりしている。
このようなテーブルのルーツは、上方落語で使う見台(けんだい)なのではなかろうか。
(桂米朝師匠の前にあるのが見台です)
落語は一人で喋る芸だが、あの台があるのとないのでは、話すスタイルも違ってくるだろう。
また、コンビでない芸人同士がトークをするときは、共通の何かが物理的にあった方が落ち着く
のかもしれない。
あるいは、あのテーブルは座標でいう原点にあたるものかもしれない。
テレビの画像にも、そういうものがないと締まらないからかも。