笑福亭鶴瓶論

笑福亭鶴瓶論 (新潮新書)

笑福亭鶴瓶論 (新潮新書)

本来なら本人のオーラルヒストリーを書きたかったが、承諾を得られなかった
ので、過去の様々な媒体から鶴瓶本人が語ったことをパッチワークのように
縫い合わせたものになっている。


なので、ツギハギ感は否めず、「スケベ」というキーワードも本質をとらえて
いない気がする。
まるで聖人のような描き方にも違和感があった。


もっとも、笑福亭鶴瓶という芸人を本格的に論じようとするのは難しいだろう
から、ここまでまとめただけでも偉いと思う。


もし鶴瓶がいなくなったとしたら、彼の代わりになる芸人はいないと思う。
それは他のビッグネームの芸人もみんなそうなのだが、いなくなって初めて
不安になるようなタイプではなかろうか。



本書では触れられてなかったテレビ番組に「ざこば・鶴瓶らくごのご」が
あった。東京でも放送されていて、お客からお題をもらって三題噺を即興で
作って落語にする番組だった。
この番組の鶴瓶はときどきキレのあるオチを作ってシュッとはけていくことが
あって、そのセンスは見事なものだった。


「スジナシ」や「鶴の間」も同様に即興でコントや漫才を作る番組で、
その場で作られる笑いを追求する芸人で、長くテレビに出続けられるのは
珍しいと思う。



私は1988年か89年ごろ、わざわざ大阪に行って「パペポTV」の公開収録を
見たことがある。
2011年には友達にチケットをとってもらって「鶴瓶噺」を三軒茶屋まで
見に行っている。


出不精な私がなぜか鶴瓶を見に行くのは不思議だが、縁というものだろうか。
また何かあったら呼ばれてみたい。