激流中国

NHKスペシャル激流中国」の第1回目を見た。
不動産や株取引で大富豪になった北京の男と、内モンゴル自治区から天津に出稼ぎに来た
夫婦や初老の男を対比させ、その格差を感じさせる内容だった。


以前から NHK はこのような中国の格差をレポートする番組を作っている。
そして、たいていの場合、成功した富裕層と、チャンスのない貧困層をとりあげて、視聴者
にやりきれない思いを抱かせる。


しかし、別に中国でなくても、日本だって米国だってロシアだって、社会のトップと最底辺
の人を比べたら、同じようにやりきれない。
むしろ、中間層がどのくらいいて、ふつうに暮らしている人々がどのような社会を望んでい
るかを報道しないといけないと思う。


では、なぜこのような偏ったサンプルをとりあげるのか? 
それは、番組の製作者が、中国は社会主義国なのに格差があるのはおかしいじゃないか、と
思っているからだ。
その前提が間違ってるとは思わないから、何度も同じような番組を作るのであろう。


残念ながら、中国は社会主義国なんかではなく、ただの一党独裁国家である。
そして大昔から貧富の格差が是正されたことなんかなくて、食えなくなった農民を義侠心の
ある漢(おとこ)が束ねて反乱を起こし、次の皇帝になることを繰り返しているのだ。
今は皇帝の地位にたまたま国家主席がいるにすぎない。


そんなことは支配層が嫌というほど分かっているから、農民を弾圧し選挙権を与えないだけ
のことで、人民解放軍の中に二二六事件のような青年将校がいれば、内乱が起こる可能性だ
って否定できないだろう。


あるいは、農村部から本当の意味での共産主義革命を起こそうとする集団が現れて、中央政
府を倒そうとするかもしれない。
なんだか笑い話みたいだけど、これだけ貧富の差がついてしまったのだから、貧乏な農民が
団結して立ち上がったって何の不思議もないと思う。




番組の冒頭では、天安門広場に億万長者たちがフェラーリをならべて悦に入っていた。
豪邸にはイタリア製の家具があり、フランス人に設計させた室内プールもあった。


では逆に、世界中の人が欲しがるような中国製のブランドは何かあるだろうか? 
私は、共産中国誕生後、そのようなブランドは生み出されてはいないと思う。


おそらく今世紀中は、中国製のフェラーリベントレーのような高級自動車が作られること
はないだろう。
私たちが中国の文化に敬意を表するのは、清朝以前のものだ。
近代中国には、まだ世界に発信する文化は生まれていない。


富裕層や中間層から、何か面白いカルチャーが生まれるかもしれないが、少なくともあと一
世代はかかるだろう。
そのとき、中国がどうなっているのかは誰にも分からないと思う。


本文と写真はまったく関係ありません

从 ´ ヮ`)<パンダは中国語で大熊猫っていうらしいと!