ずっと前にブラジルに旅行したとき、道路のカーブのところに棒が立ててあり、それが何本も
あったから、あれは何ですか? と現地の人に訊ねたところ、カーブミラーの跡だと教えても
らった。
道路に大きな鏡をつけておくと、しばらくして盗まれるか、若者が面白半分に銃で撃つのだそ
うだ。
なんちゅう国だ、と思ったのだが、日本もうかうかしていられない状況のようだ。
というのも、公園のステンレス製のポールや、銅製の電線が大量に盗まれ、転売されているニ
ュースをよく耳にするようになり、そのうち路上にあるものは何でも狙われてしまうのではな
いか、と心配になったからだ。
もちろん、盗まれる理由はニッケル(ステンレスは鉄とニッケルとクロムの合金)や銅の価格
が上昇しているからであるが、何かを盗んで転売するルートが確立すれば、とりあえず値段が
上がっているものが対象になり、治安がどんどん悪くなるような気がする。
例えば、外国ではカーステレオがすぐに取り外せるようになっており、これもブラジルの例だ
けど、ガレージのない家はしかたなく路上駐車するが、そのときカーステレオやカーナビなど
の金目のものは家の中に入れておくのだ。
日本でそういうことをしている人は、まだいないだろうけど、高級車を専門に狙う窃盗団が暗
躍しており、ときどき芸能人のクルマが盗まれてニュースになっているから、そのうちグレー
ドを下げて庶民のクルマを狙う可能性だってあるわけである。
じゃあ、こういう犯罪は誰がやっているんだろう、という話になるが、私は警察の統計を見た
わけではないから、外国人がやっていると安易に断定はできない。
しかし、転売ルートを作っているのは日本人ではないような気がする。根拠はないけど。
日本は公共工事などで、莫大なお金をインフラに変えてきたはずだ。
それがどんどん盗まれているのを黙って見ているわけにもいかない。
警察の捜査にも限界はあるだろうから、100%防げるわけではなかろう。
そうすると、インフラを盗むよりも儲かる仕事を生み出さないと、いつまでたってもこの手の
窃盗はなくならないだろう。
盗品を買い取らないような仕組みを作ればいいかもしれないが、スクラップを扱う業者にとっ
ては手続きが煩雑になるだけで歓迎されまい。
結局はステンレスや銅の価格が下がることを待つしかないのかもしれない。
北京オリンピックが終わるまでに一服するのかな。
そういや、リンゴとかサクランボなどの果実が大量に盗まれる事件も頻発していたが、最近は
増えているのだろうか。