ポップミュージックの多様性

このチャートを見てほしい。
ビルボードが集計した、1984年の各週1位の曲である。
私はこの9割を鼻歌で唄える。イントロクイズも、かなり早めに答えられるだろう。
この年から92年の上半期ぐらいまでは、米国のポップミュージックについていけたのだが、その後さっぱり
分からなくなってしまった。


青春の思い出と括ってしまえばそれまでだが、私がチャートを注目していた時期の音楽は、もっと多様性が
あったように思える。
そこで、1960年から2005年までの各年で、全米1位になった曲が何曲あったかを数えてみた。


チャートは Wikipedia に載っている Billboad Hot 100 の週ごとの1位の曲で調べた。
なお、Wikipediaビルボードのチャートは 1940年から記載されているが、1958年までは、ビルボード
店舗売り上げ枚数、ラジオでかかった回数、ジュークボックスでかかった回数などを別々に記録していた
ため、除外した。
また、チャートは1月から12月で区切るため、年末年始にかけて1位になった曲は、それぞれの
年でカウントしている。

曲数 曲数 曲数 曲数 曲数
1960 20 1970 21 1980 17 1990 26 2000 15
1961 23 1971 19 1981 17 1991 27 2001 15
1962 21 1972 22 1982 16 1992 13 2002 9
1963 21 1973 27 1983 17 1993 11 2003 12
1964 23 1974 36 1984 20 1994 10 2004 12
1965 28 1975 35 1985 27 1995 12 2005 8
1966 28 1976 26 1986 31 1996 9
1967 19 1977 29 1987 29 1997 10
1968 16 1978 20 1988 33 1998 16
1969 17 1979 24 1989 33 1999 15


折れ線グラフをアップできるスキルがあればよかった。見にくい表で申し訳ない。
これによると、最多は1974年で、年間36曲がナンバーワンになっている。
最少は2005年の年間8曲。四分の一以下である。


1位になった曲が多い年というのは、何週間も連続してトップになった曲が少なかったということ
でもある。逆に、何週間も同じ曲がトップを維持すれば、年間で1位になった曲も減る。


例えば、ビートルズブイブイいわしていた1964年から1968年を見ると、
64年23曲、65年28曲、66年28曲、67年19曲、68年16曲である。


67年はモンキーズが大プレイクした年で、“I'm a Believer”が6週連続1位になっているほか、
5週連続1位が一曲、4週連続1位が5曲もあったので、前年より1位の数が激減している。


68年も同様にビートルズの“Hey Jude”の9週連続1位を筆頭に、5週連続1位が3曲、4週連続
1位が2曲あるために、年間の1位は16曲であった。
1位が少ない年は、その年を代表する曲がパッと思い浮かぶ年だと思う。


例えば、1982年は16曲のナンバーワン・ヒットがあるが、7週連続1位の“Ebony and Ivory”と
“I Love Rock 'N Roll”が代表曲かと思われる。
(もっとも、81年末から数えると10週連続1位のオリビア・ニュートン・ジョンの“Physical”
になるかもしれない。セクシー路線強し)


この45年の流れを見ると、チャートの1位が多いことは、音楽の多様性があったとは言えまいか。
ポップミュージックだから、いろんなタイプの音楽のごった煮であることは確かだが、ここ10年
ぐらいは音楽に元気がないように思えるのだ。


オッサンが最近の音楽についていけなくなっただけなら、それでいい。
しかし、売れている音楽が非常に狭い範囲の若者だけにしか楽しめないようなものだとしたら、
哀しいことだと思う。


一方、日本ではどうか? オリコンのチャートは、年間の1位を週ごとに分けてなかったので
集計できなかったのだが、やはり同様の傾向にあるのかもしれない。
ていうか、何週間もトップを維持した曲なんて、もうずっと見てないような気がする。


音楽とセックスはお手軽になったけど、心に残るような何かが消えたのかもしれない。
なーんてね。


本文と写真は全く関係ありません

ノノ*^ー^)<うちらの曲は、海の向こうまで届くかな? 
从*` ロ´)<届くに決まっとーよ!