軍艦と妊婦さん

2001年の8月だったと思うが、海上自衛隊護衛艦「あさかぜ」(DDG 169) に乗った。
この日は、自衛隊関係者や希望者が特別に乗艦し、広島の方までクルーズして海上演習を
見学する広報デーだったのだ。


といっても、私が希望したわけではない。父親が海軍予科練だったので、どこからか乗船の
招待状をもらってきた。もう歳だったので、父親ひとりだと心もとない。
だから私が、父親のお供をした。
残念ながら、ミリタリー関係のものにそれほど興味はない。
ちなみに護衛艦の名前は、記念に買ったライターに書いてあったので正確に記述できた。
もしライターがなかったら、すっかり忘れていたと思う。


近くの港に停泊している「あさかぜ」に乗ると、かなり自由に船の中を見学することができた。
護衛艦といっても船は船なので、あのペンキくさい独特の臭いがした。
ミリタリー好きの人は、広角レンズを付けたカメラでいろんなところを撮影していた。


そういえば、「坂の上の雲」を読んでから横須賀の三笠を見に行き、これが日本海海戦で実際に
戦った船か! うおお! とテンションが高まったことがあったっけ。
残念ながら、私は「あさかぜ」について何の予備知識もなかったので、ただ大きい船に乗った、
という感想しかない。申し訳ない。


ただ、操舵室にも入れたので、ほほう、これが軍艦の中か! と好奇心丸出しで色んなものを
見ていた。海上自衛官の人たちは、当たり前だが皆ピシッとしており、真っ白の制服がまぶし
かった。


お昼は各自で用意することになっていたので、私は甲板で父親と一緒に弁当を食べた。
晴れていて気持ちが良かったが、夏なのでかなり暑かったのを憶えている。


ふと、他に弁当を食べている人はいないか見ていると、妊婦さんがいた。
恐らく自衛官奥さんなのだろう。一目で妊婦さんと分かるぐらい、お腹が大きくなっていた。
船に乗ってて大丈夫なのだろうか、と心配だったが、周りはみんな自衛隊の人なんだから、
むしろ安心なのかも、と納得した。


海上演習を見て、夕方に港に戻って無事にオカに上がった。
あの妊婦さんも、夫と思われる人と別れを惜しんでいた。


それから何年も経つが、どういうわけか護衛艦(というか軍艦)に妊婦さんが乗っている情景を
思い出す。
本来、まったく相反するものであるけれど、自衛隊というのは妊婦さんたちを守るためにいるの
だよなぁ、と考えると微笑ましくもなる。


軍人は、医者や弁護士と同じく、暇であればあるほどいいけれど、現実に必要な職業だと思う。
だから、それなりの敬意は払うべきなんじゃないか、とも思うんだけど、サヨクの人からみれば
違いますかね? 


かといって、軍備を拡大しようとか核武装も考えよう、とは思わないけど。
テレビでやってた「亡国のイージス」をなんとなく見てたら、護衛艦に乗っている妊婦さんを
思い出したので書いてみました。


本文と写真はまったく関係ありません