普通ホスト

いつからホストクラブがカジュアルなものになったのか知らないが、キャバクラに
行くお父さんが好感を持たれないように、ホストクラブに行くお姐ちゃんも決して
まともな人には見られないだろう。


朝日新聞桐野夏生の「メタボラ」という小説が連載されているが、いま那覇のホスト
クラブが舞台になっている。
新米ホストがどういうシステムでのし上がっていくか、という話は、「夜王」などの
ドラマやマンガで語られているので、いまさら新しい感じはしない。


私が不思議に思ったのは、ホストの種類というか系統である。
癒し系・オラオラ系などと、客の趣向によって細分化されているみたいだが、基本的に
水商売っ気たっぷりの不良の兄ちゃんがベースにあることは間違いない。


そうすると、やってくるお客は、そういう男が好きな女に限られる。
つまり、水商売の女か、金持ちだがDQNの女たちだ。
これでは、少ないパイを奪い合うだけではないか。
もっと、お客を広げなければ。


だって、メイド喫茶とか執事喫茶なんて、キャバクラとかホストクラブには絶対に
行かない客層を掘り起こしたということでしょう? 
ホストクラブだって、このままでは過当競争に陥ってしまうのではないかと思うのだ。


で、普通の主婦層やOLをターゲットに、普通の男が待っている「普通ホストクラブ」
というのを提案したい。
従来のホストクラブと何が違うかというと、いわゆるギラギラした水商売っぽさが
ゼロであるという点だ。


服も普通だし、アルコールも出さない。料金もリーズナブルにする。
ま、執事喫茶ならぬ、学生喫茶ですな。


ただし、雇用する男は高学歴な学生・フリーターにする。
あくまでも、普通の女性が、ちょっとオシャレな会話を愉しむ場にするわけだ。
もちろん、いかがわしいことはしない。


そこで考えなければならないのは、普通の主婦やOLが何に萌えるか、である。
メガネ男子なのか、芸人のようなトーク力なのか、ものすごい聞き上手なのか。
とにかく、ホスト=風俗というイメージをなくして、買い物帰りや通勤帰りに
ちょっと立ち寄れるような店がいいのである。


入り口に写真と得意分野が書いてあって、それで指名するのはどうだろうか。
イケメンでなくても、時代劇の話をとことんしたい、とか、宝塚の話を思うさま
したい、という欲求が合えば、どんどん指名がとれるかも。


これまで、風俗産業は、主に男の欲望を満たすために発達してきた。
日本には高級ソープから特殊ビデオ屋まで、実に様々な風俗が、たぶん世界一の
バリエーションを誇っていると思う。


そのバリエーションの一つとして、メイド喫茶執事喫茶が現れたわけだ。
これは、オタクだって欲望を満たしに風俗へ行く、ということである。
(お金を媒介にして擬似恋愛を愉しむ、という意味においてね)
だとしたら、普通の主婦やOLが風俗に行ったっていいじゃないか。


設定が地味なので、ビッグマネーは動かないが、意外とニッチな風俗として成立する
のではないかと思うが、どうだろうか? 
もう、どっかでやってんのかな。